日本共産党の山下芳生書記局長は17日の参院予算委員会で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設が沖縄の「負担軽減」にならず、豊かな自然環境を破壊している実態を告発。新基地が米軍の戦略的出撃拠点に使われる危険性を浮き彫りにしました。
山下 この声にどう答えるのか。「危険性」を宜野湾市民の上から名護市民の上に移すのか。
首相 普天間は、住宅地の真ん中にあるが、辺野古は違う。住宅防音が必要な世帯がゼロになる。
山下 そんな説明は、辺野古周辺の人たちには通用しない。
山下氏は、沖縄中部訓練地域には、すでにオスプレイが発着できるヘリパッドが多数存在し(図)、86デシベル超の騒音(名護市が測定した久志集落のピーク騒音の平均はパチンコ店内の騒音相当)被害を受けていることを指摘。沖縄本島全体のオスプレイのヘリパッドの配置図を示して、「新基地がつくられたら、各地のヘリパッドと新基地を往復するおびただしい数のオスプレイが名護市民の頭の上を飛んでいくことになる」とただしました。
山下 騒音が軽減されるどころか、ひどくなるのは火を見るより明らかだ。
中谷元・防衛相 防音の必要性などを確認し、適切に対応する。
首相が「防音が必要な世帯はゼロになる」と述べた直後の答弁で、防衛相が防音対策の必要性を認める支離滅裂ぶり。山下氏は「『オール沖縄』の民意を無視して、政府が『県内移設』『県内たらい回し』に固執していることが、『普天間固定化』の一番の原因だ」と批判しました。
首相が「米軍の抑止力は必要だ」と主張したのに対し、山下氏は在日米軍から毎年3、4000人がイラク・アフガンに派遣され、普天間基地のヘリ部隊は年の半分以上、海外展開していると指摘。「海兵隊は『抑止力』ではなく、他国に攻め込む『侵略力』だ」と強調しました。
中谷防衛相は、この三つの機能とも普天間基地にはない、と答えました。
山下氏は「(普天間にはない)巨大な艦船が接岸できる係船機能付き護岸やタンカーが接岸できる燃料桟橋がつくられることは、空だけでなく海にも展開できる新たな機能が加わるということだ」と強調しました。
新基地はキャンプ・シュワブや辺野古弾薬庫と一体で運用されます。全体面積は普天間基地の約5倍、嘉手納基地の約1・2倍で、「面積は普天間の3分の1になる」(首相)との主張はまやかしです。
山下氏は、米海兵隊が策定した基地運用計画「戦略展望2025」には「新しい施設に航空・陸上部隊を受け入れる」「戦略的出撃拠点として機能する」と記述されていることをあげ、「巨大なスーパー基地に生まれ変わるものだ」と指摘。岸田文雄外相は米側が「能力を拡大する」としていることを認めました。
「将来はさらに拡大する可能性がある」
山下氏は、米陸軍工兵隊の建設計画の資料では、キャンプ・シュワブ内陸部に30棟以上の施設を建てるとしていること、さらに「戦略展望2025」によると米側は空域の拡大も狙っていると指摘しました。
山下 飛行制限空域の限界高度を引き上げるよう沖縄中部訓練地域上空の特別使用空域を日本政府とともに再設計するとしている。協議しているのか。
防衛相 ご指摘のような事実はない。(協議は今後も)やらない。
山下氏は「国民に真相を隠し、最新鋭の巨大な軍事基地をつくることは絶対に許されない」と主張しました。
山下氏は、米国防総省の統一施設基準が強襲揚陸艦の接岸に必要な長さを269・4メートルとしていることを指摘しました。
山下 強襲揚陸艦の接岸が可能になる。間違いないな。
防衛相 国内の港湾施設にかかる基準を用いて計算した場合に約320メートルとなる。強襲揚陸艦を対象船舶として設計していないのは明らかだ。
山下 ホワイトビーチには250メートルの米軍桟橋に強襲揚陸艦が接岸していた。結局、強襲揚陸艦が来ないという保証はないではないか。
山下氏はワスプ級強襲揚陸艦の場合、ハリアー攻撃機やオスプレイ、水陸両用強襲車両、ホバークラフト型揚陸艇などの装備を持ち、海兵遠征隊2200人が乗り込むことをあげ、「『殴り込み』作戦の中核を担う軍艦だ」と指摘しました。
同級の強襲揚陸艦がイラクに派遣され、ファルージャでの虐殺作戦にも参加していた事実を示し、「まさに殺し、殺される戦闘に兵器と兵士を送り込むのが強襲揚陸艦だ。それが辺野古の新基地に接岸できるようになる」と指摘しました。
山下 すでに強襲揚陸艦と一緒に行動する揚陸艦が大浦湾に来て軍事演習をしている。大浦湾に接岸可能な新基地ができたら利用するのは当たり前ではないか。
首相 強襲揚陸艦の運用が前提ではない。
「前提ではない」というだけで「接岸しない」とはいわない首相にたいし、山下氏は「辺野古での新基地建設を断念し、『普天間基地の無条件撤去』『オスプレイの撤去』をアメリカに要求することこそ日本の総理としてやるべきことだ」と強調しました。
山下 撮影したダイバーは「復元不可能な自然破壊がどんどん進められている」と話している。ただちにやめるべきではないか。
防衛相 基準に従って環境に配慮しながら工事している。
首相 環境保全に万全を期し、最善の方法で作業を進める。
サンゴ破壊の事実を突きつけられても、開き直る答弁に、山下氏は「目の前で破壊されている自然環境にあまりに無関心だ」と反論。政府が行った環境影響評価に対し、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が「調査、予測、評価や環境保全措置は不十分であり、沖縄県の貴重な生物多様性に著しい影響を与える」と厳しく批判していることを示して、“宝の海”を永久につぶしてしまうのかと政府の姿勢を批判しました。
名護飛来のオスプレイ
山下「騒音ひどくなるのは明らかだ」
中谷防衛相「防音の必要性を確認する」
安倍晋三首相は「普天間の危険性除去」などといって新基地建設を進めようとしています。山下氏は、新基地建設反対は、普天間基地の被害に苦しむ宜野湾市民も含めた沖縄県民が選挙のたびに示してきた民意だと強調。「私たちは人数が少ないから危険でもいいのか。命の重さに違いがあるのか」と声を震わせた辺野古の女性の訴えを紹介し、次のようにただしました。山下 この声にどう答えるのか。「危険性」を宜野湾市民の上から名護市民の上に移すのか。
首相 普天間は、住宅地の真ん中にあるが、辺野古は違う。住宅防音が必要な世帯がゼロになる。
山下 そんな説明は、辺野古周辺の人たちには通用しない。
山下氏は、沖縄中部訓練地域には、すでにオスプレイが発着できるヘリパッドが多数存在し(図)、86デシベル超の騒音(名護市が測定した久志集落のピーク騒音の平均はパチンコ店内の騒音相当)被害を受けていることを指摘。沖縄本島全体のオスプレイのヘリパッドの配置図を示して、「新基地がつくられたら、各地のヘリパッドと新基地を往復するおびただしい数のオスプレイが名護市民の頭の上を飛んでいくことになる」とただしました。
山下 騒音が軽減されるどころか、ひどくなるのは火を見るより明らかだ。
中谷元・防衛相 防音の必要性などを確認し、適切に対応する。
首相が「防音が必要な世帯はゼロになる」と述べた直後の答弁で、防衛相が防音対策の必要性を認める支離滅裂ぶり。山下氏は「『オール沖縄』の民意を無視して、政府が『県内移設』『県内たらい回し』に固執していることが、『普天間固定化』の一番の原因だ」と批判しました。
首相が「米軍の抑止力は必要だ」と主張したのに対し、山下氏は在日米軍から毎年3、4000人がイラク・アフガンに派遣され、普天間基地のヘリ部隊は年の半分以上、海外展開していると指摘。「海兵隊は『抑止力』ではなく、他国に攻め込む『侵略力』だ」と強調しました。
シュワブと弾薬庫と一体
山下「巨大な基地に生まれ変わる」
岸田外相、米側主張「能力拡大する」を認める
“宝の海”をつぶす米軍新基地とはどういうものなのか。山下氏は、2本の1800メートルの滑走路とともに、(1)弾薬搭載エリア(2)係船機能付き護岸(3)燃料桟橋―が新たにつくられることを示しました。中谷防衛相は、この三つの機能とも普天間基地にはない、と答えました。
山下氏は「(普天間にはない)巨大な艦船が接岸できる係船機能付き護岸やタンカーが接岸できる燃料桟橋がつくられることは、空だけでなく海にも展開できる新たな機能が加わるということだ」と強調しました。
新基地はキャンプ・シュワブや辺野古弾薬庫と一体で運用されます。全体面積は普天間基地の約5倍、嘉手納基地の約1・2倍で、「面積は普天間の3分の1になる」(首相)との主張はまやかしです。
山下氏は、米海兵隊が策定した基地運用計画「戦略展望2025」には「新しい施設に航空・陸上部隊を受け入れる」「戦略的出撃拠点として機能する」と記述されていることをあげ、「巨大なスーパー基地に生まれ変わるものだ」と指摘。岸田文雄外相は米側が「能力を拡大する」としていることを認めました。
「将来はさらに拡大する可能性がある」
山下氏は、米陸軍工兵隊の建設計画の資料では、キャンプ・シュワブ内陸部に30棟以上の施設を建てるとしていること、さらに「戦略展望2025」によると米側は空域の拡大も狙っていると指摘しました。
山下 飛行制限空域の限界高度を引き上げるよう沖縄中部訓練地域上空の特別使用空域を日本政府とともに再設計するとしている。協議しているのか。
防衛相 ご指摘のような事実はない。(協議は今後も)やらない。
山下氏は「国民に真相を隠し、最新鋭の巨大な軍事基地をつくることは絶対に許されない」と主張しました。
強襲揚陸艦接岸できる
防衛相「対象船舶として設計していない」
山下「来ない保証ないではないか」
次に山下氏は、新基地に巨大艦船が接岸できる係船機能付き護岸がつくられる計画について質問。2009年に環境影響評価準備書が発表された時は護岸の長さが200メートルだったのが、13年に沖縄防衛局が提出した埋め立て承認願書では272メートルに延長された理由についてただしました。山下氏は、米国防総省の統一施設基準が強襲揚陸艦の接岸に必要な長さを269・4メートルとしていることを指摘しました。
山下 強襲揚陸艦の接岸が可能になる。間違いないな。
防衛相 国内の港湾施設にかかる基準を用いて計算した場合に約320メートルとなる。強襲揚陸艦を対象船舶として設計していないのは明らかだ。
山下 ホワイトビーチには250メートルの米軍桟橋に強襲揚陸艦が接岸していた。結局、強襲揚陸艦が来ないという保証はないではないか。
山下氏はワスプ級強襲揚陸艦の場合、ハリアー攻撃機やオスプレイ、水陸両用強襲車両、ホバークラフト型揚陸艇などの装備を持ち、海兵遠征隊2200人が乗り込むことをあげ、「『殴り込み』作戦の中核を担う軍艦だ」と指摘しました。
同級の強襲揚陸艦がイラクに派遣され、ファルージャでの虐殺作戦にも参加していた事実を示し、「まさに殺し、殺される戦闘に兵器と兵士を送り込むのが強襲揚陸艦だ。それが辺野古の新基地に接岸できるようになる」と指摘しました。
山下 すでに強襲揚陸艦と一緒に行動する揚陸艦が大浦湾に来て軍事演習をしている。大浦湾に接岸可能な新基地ができたら利用するのは当たり前ではないか。
首相 強襲揚陸艦の運用が前提ではない。
「前提ではない」というだけで「接岸しない」とはいわない首相にたいし、山下氏は「辺野古での新基地建設を断念し、『普天間基地の無条件撤去』『オスプレイの撤去』をアメリカに要求することこそ日本の総理としてやるべきことだ」と強調しました。
山下「サンゴ『復元不可能な自然破壊』やめよ」
米軍新基地建設が予定されている辺野古・大浦湾には、アオサンゴ群集を含むサンゴ礁や海草藻場があり、ジュゴンをはじめ多くの野生生物が生息しています。山下氏は、その海域に米軍新基地建設工事のために巨大なコンクリートブロックが投下され、「サンゴが破壊されている」として、破損実態を撮影した写真(別掲)を示して迫りました。山下 撮影したダイバーは「復元不可能な自然破壊がどんどん進められている」と話している。ただちにやめるべきではないか。
防衛相 基準に従って環境に配慮しながら工事している。
首相 環境保全に万全を期し、最善の方法で作業を進める。
サンゴ破壊の事実を突きつけられても、開き直る答弁に、山下氏は「目の前で破壊されている自然環境にあまりに無関心だ」と反論。政府が行った環境影響評価に対し、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が「調査、予測、評価や環境保全措置は不十分であり、沖縄県の貴重な生物多様性に著しい影響を与える」と厳しく批判していることを示して、“宝の海”を永久につぶしてしまうのかと政府の姿勢を批判しました。
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