主張

15年予算衆院通過

軍拡、福祉減、増税路線許さず

 2015年度の政府予算案が自民・公明などの賛成で強行可決され、衆院を通過しました。異常な軍拡と福祉切り下げの予算案です。週明けからは参院での予算案の審議が始まります。大企業の税負担を減らす法人税減税と、消費税の10%への引き上げの17年4月からの実施を正式に決める、税制「改正」法案も衆院で可決されました。軍拡と福祉削減、大企業減税と消費税増税を許さないたたかいがいよいよ重要です。

暮らし破壊の「三悪予算」

 安倍晋三政権が昨年末の総選挙のあと、今年1月になって決定した予算案は、国民の声に反して軍事費を増やし、医療や介護、年金などにあてる社会保障の予算は高齢化などによる「自然増」さえ大幅に切り込む、文字通り「バター」より「大砲」を優先させる予算です。大企業減税、庶民増税の税制「改正」とあわせ、国民の暮らしを苦しめる「三悪予算」です。

 安倍政権になって3年連続増額され、4兆9801億円と5兆円に迫る規模になった軍事費は、最新鋭の輸送機オスプレイ、F35戦闘機、護衛艦、水陸両用車などを自衛隊に装備する内容で、まさに「海外で戦争する国」になるための予算です。政府が決めた軍備増強計画(中期防衛力整備計画)さえ突破する危険性が問題になる、異常な軍拡予算です。

 その一方、福祉のための社会保障予算は、高齢化などによって見込まれていた「自然増」予算にまで手をつけ、医療も介護も年金も、大幅に後退させます。「自然増」予算の削減は、「医療崩壊」や「介護難民」をもたらした小泉純一郎内閣以来の方針で、消費税増税の際の「社会保障のため」という公約さえ完全に投げ捨てるものです。

 介護施設の運営を苦境に追い込む介護報酬の引き下げ、高齢者の医療費窓口負担の引き上げ、年金額の抑制や生活保護のいっそうの改悪などが目白押しです。物価上昇や実質賃金の低下など安倍政権の経済政策「アベノミクス」による国民の暮らしの悪化に、拍車をかけるものです。

 税制「改正」に盛り込まれた法人税減税は、利益が出ている大企業の負担を軽くするために赤字企業や中堅企業の負担を増やす、大企業本位のきわみです。大企業への減税は2年連続で、減税額は来年度には1・6兆円に達します。

 こうした大企業減税とあわせ、安倍政権は、今年10月からの実施を延期した消費税の10%への引き上げを17年4月から実施することを、税制「改正」法案に盛り込みました。景気が悪化すれば増税は見送る「景気判断条項」まで削除します。まさに問答無用で消費税増税を押し付ける態度です。

「健全化」の名で更に増税

 安倍政権は15年度の予算案や税制「改正」法案が成立したあと、この夏までに財政赤字を減らすための財政「健全化」計画を決めるとしています。そこでも浮上しているのが新たな増税計画です。

 内閣府は20年度に「健全化」の目標を達成するには9・4兆円から16・4兆円も足りないと言い出しています。財界団体の経済同友会は消費税の税率を17%まで引き上げる必要があると主張します。

 軍拡と福祉後退、増税の予算に反対するとともに、消費税に頼らない財政運営へ転換させることがいよいよ差し迫った課題です。