安倍首相はじめ閣僚らが国の補助金交付先企業から献金を受け取るなど「政治とカネ」の問題が噴出しています。受け取り側に共通しているのは、献金企業を所管する官庁に大きな影響力を持つ「族議員」ということです。ワイロ性のある企業・団体献金ですが、補助金交付先企業の献金は、税金の還流であり、しかもワイロ性が極めて高く、政治をカネの力でゆがめる典型です。

 疑惑政治家たちは献金企業が国の補助金を受け取っていたことを「知らなかった」などと弁明しています。しかし、献金先とはそれぞれ深い関係にあり、そんな言い訳は通用しません。

業界寄り答弁

 林野庁の「森林整備加速化・林業再生事業の補助金」を交付された木材加工会社から300万円の「違法献金」を受け取っていた西川公也前農水相は、衆院農水委員長や自民党農業基本政策委員長を歴任した農水族の有力メンバーです。

 国会で「できるかぎり、この事業が継続できるように努力をしてまいりたい」(2014年10月16日、参院農水委員会)と業界寄りの答弁をしています。

港湾分野精通

 国土交通省の「広域物資拠点施設整備補助金」、環境省の「家庭・事業者向けエコリース促進事業費補助金」を交付された大手物流会社「鈴与」から670万円の献金を受け取っていた望月義夫環境相は、国土交通副大臣や衆院国交委員長、環境大臣政務官を歴任、野党時代は、自民党のシャドーキャビネットの国交相も。

 鈴与は両省の補助金で、港湾施設にクレーンなどを導入する計画ですが、望月氏は自民党港湾議連の会長も務め、港湾分野に精通しています。

返金の前歴も

 政治団体の届け出のない「博友会」をめぐる不正献金疑惑が指摘されている下村博文文部科学相にも、文科省の補助金を受ける二つの学校法人から献金を受け取り、大臣就任後の13年3月に返金した前歴があります。

 下村氏は、文科政務官や自民党教育再生実行委員長などを歴任した文教族です。下村氏の献金の中心は、民間教育産業からのもので、業界のための政治力を期待されてのことは自明です。