主張
集団的自衛権行使
「米国の戦争」参加の危険鮮明
自民、公明両党は、集団的自衛権行使容認を柱にした「閣議決定」に基づき、安全保障関連法案を具体化する与党協議会を週内にも再開しようとしています。安倍晋三内閣は与党協議を受け、5月の連休明けに安保関連法案の国会提出を狙っています。首相は開会中の国会で、「閣議決定」の内容に関し、日本の同盟国が先制攻撃を行って報復攻撃を受けた場合でも、日本が集団的自衛権を発動し武力行使することも排除しない考えを示すなど、その危険性が一層鮮明になっています。
先制攻撃時も排除せず
政府は、集団的自衛権について「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」と定義し、その行使は「憲法上許されない」としてきました。
この憲法解釈を大転換したのが、昨年7月の「閣議決定」です。(1)わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合で(2)これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに(3)必要最小限度の実力を行使する―という武力行使の「新3要件」を設け、集団的自衛権の行使を容認しました。
今国会の質疑では、この「閣議決定」の重大な内容がさらに浮き彫りになっています。
「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」には、その「他国」が先制攻撃をした結果、相手国から武力攻撃を受けたケースも含まれるのかと問われた首相は、「(日本が)武力行使をするのは新3要件を満たすか否かの中で判断する」と述べ、否定しませんでした。しかも、首相は、「わが国と密接な関係にある他国」として「同盟国である米国」を挙げました(2日の参院予算委員会)。
米国が無法な先制攻撃の戦争を起こし、相手国が反撃してきた場合でも、日本政府が「新3要件」に該当すると判断すれば、米国への武力攻撃を排除するため日本が武力を行使することを認める極めて重大な答弁です。
首相が、「イスラム国」を空爆している米軍主導の「有志連合」に自衛隊が後方支援をすることについて「憲法上は可能」だと繰り返していることも看過できません。首相は、米軍や多国籍軍への後方支援のため自衛隊をいつでもどこでも迅速に海外派兵できる「恒久法」を検討していることも表明しました(5日の参院予算委員会)。戦闘部隊への輸送や補給、医療などの後方支援は、戦争に必要不可欠な軍事活動です。国際紛争への軍事的関与を禁じた憲法9条に反するのは明らかです。
戦闘現場で武器使用も
「閣議決定」は自衛隊の後方支援について、他国部隊が「現に戦闘行為を行っている現場」以外であればどこでもできるとしています。「状況変化により、わが国が支援活動を実施している場所が『現に戦闘行為を行っている現場』となる」ことも認め、首相は自衛隊が攻撃されれば武器を使用することもあるとしています。
米国の戦争に日本が参戦する道につながる「閣議決定」を撤回させることが重要です。
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