沖縄防衛局は、名護市辺野古の新基地建設の埋め立てに向けた仮設桟橋の設置と、大浦湾のサンゴ礁を損傷させている巨大なコンクリート・ブロックなどブイ(浮標)固定用のアンカー(いかり)投入について、県の許可は不要との見解を2日までに示しました。
防衛局が海上ボーリング(掘削)調査での使用のため、2月以降に設置するとしている仮設桟橋は、埋め立て本体工事にも使用される可能性が指摘されています。本体工事に使用する場合、公有水面埋立法に基づき、設計概要の変更を県に提出する必要性がありますが、防衛局は、仮設桟橋は掘削調査の終わった段階で撤去し、本体工事には使用しないと県に回答しました。設計概要の変更手続きになれば、変更の許認可権を有する翁長雄志知事が新基地建設に反対しているため、許可の得られない事態を避ける狙いです。
しかし、仮設桟橋は、海底から網に入れた砕石を積み上げ、事実上の埋め立てにつながるともいわれています。県民からは「掘削調査のためだけに大がかりな岸壁をつくるのはおかしい」「2月に設置して本体工事が始まる4~6月までに撤去するなどできるはずがない」との反発が上がっています。
アンカー投入は、サンゴ礁など水産資源の改変にあたるとみられ、県漁業調整規則に基づき、知事による岩礁破砕等の許可を得る必要性がありますが、防衛局は1月27日から許可申請の手続きも行わないまま、違法な投入を強行。10~45トンのコンクリートと鋼製のアンカー2種類を全部で75カ所に投入しようとしていますが、「岩礁破砕手続きの対象にはならない」と回答しました。
県は防衛局の回答を受け、専門家の意見も踏まえ対応を検討するとしています。
サンゴ壊す防衛局 とんでもない工事
嘉陽宗儀・日本共産党県議団長の話 仮設桟橋は本体工事の前に撤去するとしながら、既成事実づくりではないかと私たちは主張しています。「今さら撤去などできない」などと言いかねない防衛局の“県民だまし”を許さず、県はこれを認めるべきではありません。アンカーが実際にサンゴを破損しており、環境保全上、必要な許可さえ受ける必要もないという防衛局のやり方はとんでもない話です。