主張
日本人人質殺害
国際的結束でテロ組織包囲を
過激組織「イスラム国」は日本時間1日早朝、人質にしていた日本人ジャーナリスト後藤健二氏を殺害したとする映像をインターネットで公開しました。1月24日にもう一人の日本人人質、湯川遥菜氏を殺害したことに続く、残虐非道な蛮行を断固として糾弾するものです。こうした悲劇が繰り返されることを絶対に許してはなりません。
「イスラム国」の蛮行
なにより重要なことは日本共産党の志位和夫委員長の声明も指摘しているように、「イスラム国」の蛮行を阻止し、解体に追い込むための国際的な結束です。
「イスラム国」はイラクとシリアの国境をまたぐ地域を支配し、極端なイスラム教解釈に基づく統治を行っています。同じイスラム教スンニ派の住民に対しても、敵対勢力とみると拷問と「処刑」を繰り返しています。その残虐性は昨年、「生みの親」である国際テロ組織アルカイダから「破門」されるほどです。イスラム教徒以外の少数派住民への弾圧もすさまじく、昨年10月には「奴隷制の復活」を宣言し、イラク北部で拉致したヤジディ教徒の女性や子どもを「戦利品」として自らの戦闘員に与えました。
「イスラム国」によるこうした残虐な行為はイスラム教とはまったく無縁です。
国連安保理は昨年8月、全会一致で決議2170を採択。「イスラム国」の広範囲にわたる系統的な一般住民に対する攻撃を「人道に対する罪」にあたると断定し、同組織を「武装解除と解体」に追い込むため、「外国人テロリストの流入」、「武器の供給」と「資金調達」の防止などを各国に呼びかけました。
そうしたテロへの対処では、国連憲章をはじめとした国際法、国際人道法を順守することが不可欠です。
「テロとの戦争」を掲げたアメリカのブッシュ政権が開始したアフガニスタン報復戦争(2001年10月)、イラク侵略戦争(03年3月)、北大西洋条約機構(NATO)によるリビア空爆(11年)、オバマ米政権のもとで拡大した無人機による「テロ容疑者」に対する空爆など、国際法に背く軍事介入が繰り返されてきました。
米欧諸国が自らのモデルを押し付けようとした「民主化構想」はいずれも成功せず、戦争(内戦)の泥沼化、宗派間の対立激化、米欧諸国への憎悪を深めてきました。これがテロの口実をつくり出し、過激派集団の伸長につながりました。「イスラム国」がイラク北部に支配地を広げているのは偶然ではありません。
またアラブの人々を深く傷つけているイスラエル・パレスチナ紛争の公正な解決をはじめ、軍事一辺倒でなく、貧困や格差、差別などテロの温床を根絶することも必要です。
「戦争する国」許さず
今回の日本人人質事件を口実に、安倍晋三首相が「在外邦人救出」のために自衛隊派兵の拡大へ向けた法的整備が必要などと軍事的対応に前のめりの姿勢を表明していることは重大です。いま日本政府に求められるのは、今回の人質事件での日本政府の対応を冷静に検証することです。「テロ」を口実に「海外で戦争する国づくり」を加速することは許されません。
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