主張
自民公約と原発
推進への加速は許されない
東日本大震災にともなう東京電力福島原発の事故から3年8カ月余り、いまだに12万人以上が避難生活を続ける被災者への支援や被災地の復興とともに、二度と悲惨な原発事故を繰り返さないため、日本全国で停止している48基の原発の再稼働を許さず、一日も早く「原発ゼロ」を実現していくことが総選挙の重大な争点のひとつです。自民党は総選挙政策で、「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」という前回の公約を引っ込め、「原子力は重要なベースロード電源」と、依存を続けることを鮮明にしました。原発推進の加速は許されません。
福島原発事故忘れたか
自民党は福島原発事故後の最初の総選挙となった一昨年末の総選挙で、「全てのエネルギーの可能性を徹底的に掘り起こし…原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指します」と公約しました。曲がりなりにも原発依存を反省して見せたわけです。当面は再生可能エネルギーの導入や省エネルギーを推進し、原子力については「安全第一」で、原子力規制委員会の専門的判断にゆだねるというものでした。
この立場はわずか半年後の昨年の参院選の公約では早くも後退し、「原子力に依存しない」という言葉が消えます。今回の総選挙政策ではさらに後退し、「原子力については、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源との位置付けの下、活用してまいります」と、活用に前のめりです。「原発依存度については…可能な限り低減させます」というのは、まったく言い訳でしかありません。
いったい自民党は、福島原発事故はもう終わったとでもいうのか。歴代政権が原発の「安全神話」に縛られ、事故を引き起こしたことへの反省は忘れたのか。福島原発は事故を起こした原子炉にいまだ近づけず、増え続ける放射性物質の汚染水はコントロールできない状態です。「原発に依存しない社会」を投げ捨て、原発を推進するのは、なにより被災者の気持ちを逆なでするものです。
原発を「重要なベースロード電源」と位置づける安倍政権は、原子力規制委が審査していることを口実に、「規制委が認めたものは安全」と、原発の再稼働を急いでいます。まず、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)を突破口に、各地の原発再稼働を進める計画です。電力会社は事故や故障の可能性が高まるとされる運転開始から40年を超える原発についても、関西電力高浜原発(福井県)など運転延長の検討を進めています。原発の推進が国民を原発事故に巻き込む危険を高めることは間違いありません。
「原発ゼロ」実現は可能
日本は福島原発事故の後、昨年秋にすべての原発が運転を停止したあと、昨年冬も今年の夏も、原発なしで電力を賄ってきました。この冬も電力は賄える見込みです。省エネや太陽光など再生可能エネルギーの活用で、原発は止まったまま再稼働せず、「原発ゼロ」に向かうことは可能です。
日本共産党は「再稼働ストップ。『原発ゼロ』の日本をつくろう」と呼びかけます。原発推進の自民党はもちろん、「2030年代原発ゼロに向け」と原発からの撤退を先延ばしする民主党などにも、国民の安全は任せられません。
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