「アベノミクス」の「成長戦略」として「残業代ゼロ」制度の導入を主張してきた日本経団連、経済同友会の役員企業など40社・93事業所が結ぶ三六(さぶろく)協定を調べたところ、「過労死ライン」とされる月の残業時間80時間を超える三六協定を結んでいる企業が78%にのぼることが明らかになりました。日本共産党の小池晃副委員長・参院議員と本紙が共同して情報開示請求を行ったものです。
1カ月間に延長できる残業時間80時間以上とする協定を結んでいたのは40社中31社(77・5%)。1日に延長できる残業時間では、8時間以上が23社(57・5%)、10時間以上が17社(42・5%)です。最高は1日16時間で、所定内労働時間を含めると、1日に23時間以上働かせることができます。
年間の残業時間が600時間を超えるのは28社(70%)、800時間以上は12社(30%)でした。
榊原定征経団連会長(産業競争力会議前議員)が会長をしている東レは、月100時間、年間900時間の協定を締結。榊原氏は、「残業代ゼロ」制度の対象労働者を「少なくとも全労働者の10%程度は適用を受けられるようにすべきだ」と主張しています。
三六協定 1日8時間、週40時間を超える時間外労働をさせようとする場合、会社が労働組合・労働者代表との間で結ばなければならない協定。労働基準法36条に定められています。「特別条項」を結べば、“青天井”で働かせることができます。
共産党躍進で長時間労働の規制を―小池晃参院議員
この調査で、大企業の長時間残業の最新の実態と、経団連が「ただ働き」の拡大へ「残業代ゼロ制度」や裁量労働制の緩和を求めている理由も明白になりました。経団連会長企業の東レの三六協定・特別条項は月100時間で、1カ月だけでも過労死と認定される水準です。
そもそも労働時間規制は「労働者の健康とワークライフバランス(仕事と生活の調和)を確保するため」(厚労省)のはずが、実際には野放しになっているのです。総選挙では、日本共産党の躍進で、残業時間の上限の法定化やインターバル(次の仕事までの休息)規制など長時間労働の規制を訴えたい。