主張
沖縄県知事選審判
県民の不屈の魂を示した勝利
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる新基地建設(同県名護市辺野古)の是非が最大の争点となった沖縄県知事選で、保守・革新の垣根を越えた「オール沖縄」の代表として新基地断固反対を掲げた翁長雄志(おながたけし)前那覇市長が、大激戦を勝ち抜き、当選を果たしました。前回県知事選での普天間基地「県外移設」の公約を裏切り、新基地建設を承認した仲井真弘多知事を大差で破っての歴史的な勝利です。県都・那覇市長選でも城間(しろま)幹子氏が当選し、「オール沖縄」市政を継承しました。
「新基地ノー」揺るがず
18年前の1996年に新基地建設問題が持ち上がって以来5回目となった沖縄県知事選は、仲井真氏が新基地推進の立場を鮮明にしたことで、初めて新基地建設を許すのか阻止するのかが真正面から問われた選挙となりました。今回の選挙結果は、新基地を何が何でも押し付けようとする安倍晋三政権の卑劣な攻撃に決して屈しない沖縄県民の魂と誇り、「新基地ノー」の揺るぎない意思を示した画期的な意義を持ちます。安倍政権は新基地建設を断念すべきです。
仲井真氏が昨年末、3500億円近い「沖縄振興予算」を安倍首相から示されて「いい正月を迎えられる」と発言し、直後に新基地建設の埋め立て承認を行ったことは、沖縄県民の誇りと尊厳を大きく傷つけました。
同年1月、県内の全市町村長・議会議長、県議会全会派代表、主要な経済・社会団体代表が、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念、垂直離着陸機オスプレイ配備撤回を求めた「建白書」を安倍首相に提出し、新基地建設反対は「オール沖縄」の声であることが示されました。ところが、沖縄選出の自民党国会議員をはじめ同党県連の一部は、安倍政権の強圧に屈服し、「建白書」の立場から脱落しました。それに続き、仲井真氏が、「振興策」と引き換えに埋め立てを承認したのです。「沖縄の心を金で売る」に等しい屈辱的な態度は県民の怒りをかきたてました。「建白書」での大同団結、基地に依存しない沖縄の自立的な経済発展を訴えた翁長氏の勝利は、「心を金で売り渡さない」という県民の誇りと尊厳を内外に改めて示したことを意味します。
仲井真陣営や安倍政権による「共産党主導の県政を許すな」などの反共デマ宣伝は通用しませんでした。「巨大な軍事基地を造るため、サンゴとジュゴンの美(ちゅ)ら海を埋め立てることは絶対に許せない」「子や孫の代にまで基地の被害を残せない」という思いは、保守・革新の別なく、圧倒的多数の県民の願いであることの証明です。
「普天間基地は移設できなければ固定化する」「辺野古に移した方が格段に安全」などという脅しも、「宜野湾と名護の人々の命の値打ちは同じ」「基地たらい回しでは何も解決しない」という当然の主張の前に無力でした。
たたかいの発展さらに
安倍政権は、今回の選挙結果にかかわらず新基地建設を強行する構えです。民意に逆らう姿勢に道理はありません。新基地建設阻止のたたかいは、いよいよ正念場です。「あらゆる手法を駆使して新基地は造らせない」と公約した翁長新知事らとともに、沖縄と本土が連帯を強め、「新基地ノー」のたたかいをいっそう発展させようではありませんか。
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