主張

都議 また問題発言

「女性が輝く」がむなしく響く

 今年6月に自民党議員が「早く結婚した方がいい」などのやじを議場で飛ばしたことが大問題になった東京都議会で、またも人権侵害発言が飛び出し、波紋を広げています。超党派の男女共同参画社会推進議員連盟会長についた自民党都議が報道陣の取材に、「結婚したらどうだ、と平場では僕だっていう」などと答えたのです。翌日に「謝罪」したものの、会長は続投する構えです。東京五輪開催を控える首都の議会で、自民党議員から人権感覚を疑う発言が繰り返されることは、どうしても見過ごすことができません。

男女共同参画のトップが

 都議会本会議で発言中の女性議員に「早く結婚した方がいい」などの不規則発言が複数の男性議員から相次ぎ、都民や国民にとどまらず、世界に発信されて怒りと驚きを広げたのは、わずか3カ月前のことです。

 今回の問題発言が、この不規則発言問題をきっかけに5年ぶりに活動を再開した男女共同参画社会推進議員連盟の会長に就任したばかりの野島善司自民党都議の口から出たことが深刻です。野島議員は「平場=プライベート」なら問題がないようにいいますが、その感覚こそが問題です。

 結婚したくてもさまざまな事情で結婚できない人、結婚をあえて選択しない人も多いなかで、結婚が当然であるかのようにいう「まだ結婚しないの」などの心無い言葉によって、どれほど多くの女性と男性が傷つけられているか。けっして許されない発言です。

 こんな発言が自民党都議団幹事長経験もある“重鎮”から出されたことが、問題の根深さを浮き彫りにしています。都議としての資質そのものも疑われる発言ですが、少なくとも男女共同参画社会推進の超党派議連のトップにふさわしくないことは明らかです。

 日本共産党都議団は、議員連盟の役員会で会長辞任を求めましたが、自民、公明、民主、結いと維新、みんな、生活者ネットは同意しませんでした。会長にとどまることになった野島氏は「自分が最適任」と開き直る始末です。到底納得できるものではありません。

 6月に議場での不規則発言が大問題になったときも、怒りの広がりのなかで1人の自民党都議が名乗り出たものの、自民党会派からの離脱ですまし、ほかの不規則発言者は特定されないままで、うやむやになりました。自民、公明、民主などが、問題になった発言を明確な人権侵害といわない決議を賛成多数で可決して幕引きしたのです。

 男女共同参画社会の実現の先頭に立つべき首都・東京都議会の議員から、女性を蔑視し人権を侵害する発言が繰り返し出てくることは、あまりにも異常です。国際的にも通用しません。

安倍政権も問われる

 今回の自民党都議の問題発言は、安倍晋三政権が「女性が輝く社会」実現を大きな売り物にする内閣改造直後に出たものです。「女性の活躍」にこれほど水を差す発言はないはずなのに、なぜ安倍政権と与党から今回の発言を問題にし、とがめる動きが見られないのでしょうか。新設した女性活躍担当大臣に「男女共同参画」に異議を唱える女性議員を就任させたこととあわせ、安倍政権のいう「女性の活躍」の内実も問われています。