主張
7月の経済指標
消費税増税とんでもない
4月に消費税が増税され個人消費や住宅建設が大幅に落ち込んだあと、7月になっても低迷が続いていることが、29日にいっせいに発表された政府の経済指標で明らかになりました。物価は上がり続け、雇用や所得の改善も程遠い状態です。安倍晋三政権は、4~6月期の落ち込みは消費税増税前の駆け込み需要の反動減で、今後は改善するとの見方を示し、7~9月期の国内総生産(GDP)などが発表されたあと、年末までには来年10月からの消費税の再増税を正式決定しようとしています。こんな経済状態で消費税の増税などとんでもないことです。
消費も生産も低迷続く
7月の経済指標のなかでも最も注目されたのは個人消費です。総務省が発表した家計調査によれば、7月の消費支出は実質で5・9%の減少、4月から4カ月連続の落ち込みで、天候不順もあり、6月にくらべても下落幅が拡大しました。家庭用耐久財など家具・家事用品が14・6%減、洋服など被服および履物が7・4%減、教養娯楽9・6%減などが目立ちます。
消費と並んで国内の需要で大きな比重を占める住宅建設も、国土交通省が発表した住宅着工統計で7月は前年同月比14・1%の大幅減です。持ち家に加え貸家も減少し、住宅建設の回復は見えません。
消費税は原則としてあらゆる商品とサービスに課税され、その増税は国民の消費を直撃し、冷え込ませるものです。7月の指標は、4月からの消費税率の5%から8%の引き上げが3月までの駆け込み需要の反動減を超えて消費を落ち込ませ、しかも落ち込みが長引いていることを示しています。
消費が冷え込めば物が売れず、生産も低迷します。経済産業省の鉱工業生産指数によれば、生産は6月の前月比3・4%減の落ち込みよりはよくなったものの、前月比0・2%増とほぼ横ばいで、同省も「弱含みで推移している」という見方を変えていません。自動車など輸送機械や情報通信機械の落ち込みが目立ちます。
深刻なのは安倍政権の経済政策「アベノミクス」の影響です。金融緩和や円安のため、総務省の全国消費者物価指数によれば、生鮮食品を除く総合指数は前年同月比3・3%の上昇と、14カ月連続上昇です。一方、家計調査で見た勤労者世帯の実収入は実質6・2%減と、10カ月連続の減少です。安倍首相は「アベノミクス」で求人が増えたといいますが、厚生労働省の発表する有効求人倍率は1・10倍ですが、正社員で見れば倍率は0・68倍にすぎません。安定した雇用の実現とは程遠い限りです。「アベノミクス」で国民の暮らしが悪化していることが、消費税増税による暮らしへの打撃を大きくしているのは明らかです。
「想定内」は通用しない
4月の消費税増税のあと消費や生産が落ち込んだのに対して、安倍政権は「想定内」だの「反動減だからやがて回復する」とごまかしてきました。しかし増税から4カ月たった7月の経済指標は、落ち込みが「想定」を超えており、反動減からの立ち直りも困難なことを浮き彫りにしています。
安倍政権の見通しの甘さとごまかしはいよいよ明らかです。そうである以上、暮らしと経済を破壊する消費税増税は中止する以外、道はないではありませんか。
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