防災相「きめ細かく対応」
広島市などで多数の死者・行方不明者を出している8月の豪雨災害に関する質疑が28日、衆参の災害対策特別委員会で行われました。日本共産党の宮本岳志衆院議員と仁比聡平参院議員は、党災害対策本部が行った現地調査をもとに、被災者支援やがれき対策を求めました。同日、開かれた広島市議会でも党議員が被災者の要望をもとに市の対応をただしました。
652世帯1448人(26日現在)が避難所生活を余儀なくされている広島市では、長期化が見込まれる被災生活の改善が緊急の課題です。
宮本氏は行政の責任で良好な避難先を確保することが急務として、旅館やホテル、民間賃貸住宅を「応急仮設住宅」として借り上げ、被災者の要望に合わせて提供するよう要求しました。古屋圭司防災相は「(被災者の)ニーズを的確にきめ細かくヒアリングして対応していく」と答弁しました。
また仁比氏は、避難所への仮設風呂の設置や栄養士・調理士の配置を求めました。亀岡偉民内閣府大臣政務官は「避難所から30分圏内で行ける風呂を提供できるよう計画している」と答えました。
仁比氏は被災者の公営住宅入居募集について、「住宅の全壊・半壊が入居の条件」「入居期間は原則6カ月」などの情報が被災者の間で不安を広げているとして、「被災者が必要な期間、安心して入居し続けられることを積極的に周知すべきだ」と迫りました。古屋防災相は「一番重要なことは住まいの確保」「被災者の要望や必要に応じて提供できるよう準備を進めている」と述べました。
また、住宅の敷地内にまで入り込んでいる大量の土砂・流木・岩・自動車の撤去について、宮本氏は「とうてい個人の力では復旧できない」と指摘。仁比氏も「『がれき撤去は行政がやります』と被災者に知らせつくすことが大事だ」と強調しました。西村康稔内閣府副大臣は「(被災者の負担にならない形で)土砂の撤去を急ぎたい」と答えました。
がれき除去 国が責任を―仁比議員
広島市は、撤去する必要がある土砂の量について、トラック8万台分、搬出費用は100億円としています。
仁比氏は「がれきで覆われた道路」「岩の塊や流木、土砂で埋め尽くされた住宅」の被害状況を写真で示したうえで、「これは個人では除去できるものではない」と指摘し、「(がれき除去は)市だけではなくて、国が責任を持つとメッセージを発信するべきだ」と強調。国交省や自衛隊などが持つ重機を集中してがれき撤去に取り組むよう求めるとともに、「被災者に先の見通しを示せるように努力してもらいたい」と訴えました。
西村康稔内閣府副大臣は「ご指摘の通り。市だけではできないので、国・県・市で連携して取り組んでいきたい」と答えました。
仁比氏は、被災者が入居する県営住宅の風呂について、平時は入居者が設置することになっていることをあげ、「風呂のないまま避難者を入れるのか」と行政の責任で設置するように要求しました。日原洋文内閣府政策統括官は「県において浴槽の設備工事に入っている。1週間以内に設備を整え、住宅として提供する」と述べました。
仁比氏は「前進だ」と評価したうえで、「ただ市営・県営住宅は、エアコンも網戸もない。洗濯機・冷蔵庫もない」と指摘し、避難所の生活環境整備を求める内閣府通知(8月20日付)の趣旨にそい、改善の必要性を強調しました。
仁比氏は、今後の土砂災害対策について「土石流被災宅地の安全性の調査がどうしても必要だ」と強調。被災者が「元の場所に戻っても安全なのか。個人で判断できない」と述べていることを紹介し、国が責任を持ち、科学的な調査と危険度判定を行うように求めました。
生業支援踏み出す必要―宮本議員
宮本氏は、京都府福知山市では同市商工会議所の会員1100軒中300から400軒が被害を受け、事業者から「これ以上の借金は無理。やめるかどうかの選択が迫られる」などの悲痛な声がでていることを紹介。「生業の支援に踏み出す必要がある」と迫りました。
西村康稔内閣府副大臣は「既存の予算を被災地に配慮して優先配分できないか中小企業庁長官に要請している」と答えました。
さらに宮本氏は、8月豪雨が広島をはじめ京都、兵庫、高知、北海道でも大きな被害を出しているとして、激甚災害の指定を広く行うよう要求しました。現地調査した兵庫県丹波市では、収穫前の稲穂が土砂に埋まるなどの農業被害が出ていることも示し、国による復旧支援を求めました。
古屋圭司防災相は「(兵庫県)丹波、(京都府)福知山、高知県、北海道などは一連の災害で被害を受けた地域と考えている」と述べ、激甚災害の指定対象として検討する姿勢を示しました。