主張
東京五輪競技施設
計画に都民と国民の意見を
2020年東京五輪・パラリンピックは、競技施設計画の見直しで大事な局面を迎えています。
東京都の舛添要一知事が議会で「早急に見直しを行い、改めるべき点は適切かつ速やかに改める」と6月上旬に初めて見直しを表明し、検討作業が続いています。
これは日本共産党をはじめ、「オリンピック・パラリンピックを考える都民の会」など、多くの都民が、招致段階から求めてきた道理ある方向です。
変更を「喜ばしい」
都が五輪招致を勝ち取るため、国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイルは、多くの問題を含んでいました。
象徴的なのは、江戸川区葛西臨海公園のカヌー会場です。「自然の宝庫がつぶされる」と、野鳥の会や地元自治体が反対を続け、変更を求めていた場所です。今回、早速見直しの対象となりました。
さらに新設の多くが、都民の意向を踏まえず、後利用の検討も不十分なままでした。同ファイルは開催費用の安さを強調するため、「最も安い見積もりを使った」といわれ、そのつけも噴き出しています。
今回、見直しの契機となったのは経費の増大です。同ファイルは全39施設の整備費を4554億円としていました。しかし、建設コストの高騰で周辺施設も含めると7000億円を超える試算があると報道されています。新たな都民負担となりかねない問題です。
日本共産党は昨年9月、東京五輪開催が決まった際、「国民や都民の生活や環境と調和のとれた無理のない取り組みを進めることが求められる」(市田忠義書記局長=当時)との声明を出しました。党都議団も今年4月、「施設整備費は、競技を保障し、安全を確保する必要最低限の費用に」とし、「半径8キロ圏内の施設計画にこだわらず、既存施設の活用を」と提起しました。いまの見直し作業は、その方向で進んでいます。
6月末に来日した、東京五輪の準備状況を監督する、IOC調整委員会のジョン・コーツ委員長は、カヌー会場の変更は「とくに喜ばしい」と語りました。さらに、「もっと既存施設や仮設スタンドを活用すべき」だと指摘しています。
組織委員会は来年2月までに開催基本計画をIOCに提出します。求められるのは都民、国民の声を反映した計画の策定です。都民の意向をくみ、自然環境に配慮し、都民負担を軽減し、後利用も可能な施設計画ができるか否かは、東京五輪がスポーツのあるべき姿を示す上でも、大事な観点です。
新国立競技場が焦点
避けて通れないのは、五輪のメーン会場となる新国立競技場の問題です。これは国の施設で見直しの対象となっていません。しかし、建て替え計画はさまざまな批判を浴びています。周囲の景観を破壊し、建設費、維持管理費が高く、“密室”で進められてきた問題など、建築家、市民運動らも含め反対の声が上がっています。7月下旬の世論調査(「日経」)は、「計画通りあたらしく建てるべきだ」は24%にとどまり、「解体せず改修すべきだ」41%、「計画の規模を縮小する」が35%でした。
東京五輪の“顔”となるこの施設こそ、国民、都民の意向を踏まえた計画に切り替えるべきです。
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