安倍内閣が秋の臨時国会で成立をねらう労働者派遣法の改悪反対など労働者保護ルールの改悪に反対・批判する地方議会の意見書が、340に達していることが15日までに分かりました(昨年12月以降)。6月議会だけで137にのぼっており、改悪反対の声が急速に広がっていることを示しています。

 派遣法改悪法案は通常国会に提出されましたが、反対世論に押されて廃案となり、安倍内閣は再提出をねらっています。来年の通常国会には、残業代ゼロ・過労死促進の「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入法案などもねらっています。

 日立製作所の城下町である茨城県日立市議会では、「働く者の犠牲の上に成長戦略を描くことは決して許されない」として、「低賃金や低処遇のままの派遣労働の拡大につながりかねない法改正ではなく、派遣労働者のより安定した直接雇用への誘導と処遇改善に向けた法改正を行うこと」だと求めています。

 北海道本別町議会は、「正社員を減らし、いつでも解雇できる派遣の導入が急速に進み、雇用不安がさらに深刻化する」と指摘。「派遣法の抜本改正で『正社員が当たり前の社会』をめざすよう要望する」としています。

 「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入など労働ルール改悪についても「長時間労働への歯止めがなくなる」(神奈川県議会)と強調。「限定正社員の名を借りた見せかけ正社員づくり」(山梨県議会)、「不当な解雇として裁判で勝訴しても、企業が金銭さえ払えば職場復帰の道が閉ざされてしまう(解雇の金銭解決制度)」(静岡県富士宮市議会)と批判しています。

 さらに、労働者代表がいない産業競争力会議などで決めた結論を押し付けるやり方についても「雇用・労働政策にかかわる議論は、ILO(国際労働機関)の三者構成主義にのっとり、労働者、使用者、公益委員で構成される労働政策審議会で行われるべきだ」(奈良県大和郡山市議会)としています。