安倍政権が陸上自衛隊に導入し、佐賀空港への配備を狙っている米国製の垂直離着陸機オスプレイが、防衛省が定める安全基準を満たしていないことが分かりました。エンジン停止の際に安全に緊急着陸する能力(自動回転=オートローテーション機能)を持っていないためです。佐賀県の担当者は、「機体の安全性などについても防衛省に確認したい」と述べました。

 オスプレイは、離着陸時にはプロペラを上方に向け回転翼機として運用されます。日本の航空法では、安全確保のため、「自動回転」能力のない回転翼機の飛行が禁止されています。ただ、米軍機や自衛隊機は同法の例外扱いとされ、この規定の適用を受けません。

 しかし、防衛省(当時、防衛庁)は、安全確保のため「航空機の安全性の確保に関する訓令」(2007年1月5日改正)の付属書のうち「着陸」に関する箇所で、回転翼航空機については、「全発動機が不作動である状態で、できる限り自動回転飛行により安全に進入し及び着陸できるものでなければならない」と明記しています。航空法に準拠し、自衛隊機にも自動回転能力を求めています。

 これに対し、オスプレイは自動回転能力を持っていないことが、米軍発行の「V22オスプレイガイドブック」に明記されています。

 同機の沖縄配備に先立ち、12年9月19日に防衛省が公表した文書でも、「米軍はオートローテーションによる着陸を性能所要から削除」とのべ、当初は必要な性能とされていた自動回転能力が開発過程で削除されたことを認めています。

 安倍政権は昨年12月にまとめた中期防衛力整備計画で、18年度までに陸上自衛隊にオスプレイ17機を導入する方針。19年度から佐賀空港に配備する計画です。