日本維新の会の分裂によって、二つの新党=橋下徹大阪市長らの日本維新の会と、石原慎太郎衆院議員らの次世代の党=が1日、発足しました。旧維新への支給が決まっていた政党助成金を分け取りするため、一方の勢力の離党ではなく、いったん「解党」したうえで新党を届け出る「分党」の手続きをとるという周到さです。
旧維新の今年の政党助成金配分額は32億9400万円。このうち、すでに2回分は旧維新が受け取りずみですが、残り2回分の計16億4700万円あまりは二つの新党に集った国会議員の人数に応じて分け取りすることになります。
さらに9月には、結いの党が維新と合併する予定です。このため、結いの残り2回分の助成金支給額計1億7400万円あまりも維新に転がり込むことになります。
昨年7月の参院選で旧維新の橋下、石原両共同代表は「既得権の打破」を公約しました。結いの結党大会(1月18日)では江田憲司代表が「『脱官僚』『脱中央集権』『脱利権・既得権益』で、この国の形を変える」と表明。その後も「既得権打破」を旗印に政界再編を目指すと訴えていました。ところが、分裂・合併後も政党助成金という「既得権」にしがみつこうとしているのです。
しかも、旧維新の解党直前になって、当初次世代への所属を決めていた三木圭恵衆院議員が、橋下氏らのグループに移ることにしたため、一時は政党助成金の配分をどう調整するかで両グループが対立する事態に発展していました。
旧維新と結いの党は、安全保障や原発などをめぐる政策に少なくない違いがあり、そのもとで国政選挙をたたかい、それぞれの議席を獲得しました。そうした政党が分裂し別の党に再結集する以上、政党助成金を引き継ぐのはおかしな話です。
そもそも政党助成金は、思想・信条や政党支持の自由を無視して国民全員から集めた税金を政党が分け取りする憲法違反の制度です。理念なき離合集散、政党の堕落をもたらす政党助成金は廃止するしかありません。 (林信誠)