「日本を誤った方向に導く」(北海道新聞)「9条の信頼捨てるのか」(熊本日日新聞)。集団的自衛権行使容認に向けた解釈改憲の「閣議決定」(1日)を強行した翌日、全国紙と地方紙の多くが痛烈批判の社説を掲げました。なかでも地方紙では43紙中、賛成は3紙。北海道から沖縄まで40紙が反対を表明(本紙調べ)しており、国民の強い反対世論を反映しています。
北海道新聞は「なし崩し的に自衛隊の海外での武力行使に大きく道を開く内容だ」「とても歴史の審判に堪えられない。憲法の平和主義をねじ曲げ、国を誤った方向に導く」と断じました。
安倍首相“お膝元”の山口新聞は「自衛隊活動の地理的制限もなく『アリの一穴』で武力行使の範囲が拡大する」と懸念を示しました。
「日本が『悪魔の島』に 国民を危険にさらす暴挙」と書いたのは琉球新報。「(集団的自衛権行使容認の)根拠が次々に変遷したこと自体、論理性の乏しさを裏付ける」と述べ、武力行使の拡大により「無数の米軍基地が集中する沖縄は標的の一番手」になると指摘。東奥日報(青森)は「憲法をないがしろにする閣議決定は撤回すべきだ」と一喝しています。
全国紙でも、「朝日」は「憲法の基本原理の一つである平和主義の根幹を、一握りの政治家だけで曲げてしまっていいはずがない」「憲法が、その本質を失う」としました。「毎日」は、時の政権によって「いかようにでも解釈できる」として、自衛隊の活動に歯止めがかからないと問題点を指摘しました。
「読売」「産経」は安倍政権支持を表明。「日経」は「決定は適切」としながらも、「ここまで急ぐべきだったのか」として議論の進め方に疑問を示しています。
戦後最大の暴挙 公明の変節問う 緊張高める
集団的自衛権行使に向けた憲法解釈変更に地方紙社説は厳しい論陣を張っています。
「9条踏みにじる暴挙だ」と見出しを立てた秋田さきがけ。「戦争ができる国へと踏み出す行使容認は、戦後最大の暴挙であり決して許されない」と、閣議決定取り消しを要求しました。
徳島新聞も「暴走は許されない」と痛烈。冒頭で「戦争の恐ろしさを知っていた本県選出の三木武夫元首相や後藤田正晴元副総理が生きていたら、認めなかったのではないか」と書きました。
「『平和』を党是としてきた公明党の責任も重い」と福井新聞。「個別的自衛権や警察権の拡大で対応できると主張してきたはず。変節の説明責任が問われるのは当然だ」としました。
沖縄タイムスは「『平和の党』の旗を降ろしたとしか思えない」と断じました。
神戸新聞は「自衛隊が戦闘行為に巻き込まれ、血を流す危険は高くなる。そうした懸念を多くの国民が抱く」と民意を代弁。京都新聞は、集団的自衛権行使で抑止力が高まるとする首相の主張に、「むしろ中国と日米との緊張を高め、危機をあおる恐れが強い」と反論しました。
抗議の広がりにも注目しています。「首相官邸前をはじめ全国で多くの人たちが集団的自衛権の行使容認に抗議し、若い人たちの参加も少なくない」と指摘したのは中日新聞。「戦争や日本の進むべき道について深く考えることが、政権の暴走を防ぎ、わたしたち自身の命や暮らしを守る」と述べました。
西日本新聞は、民主党を「優柔不断のぬるま湯から抜け出せない」、維新とみんな両党を「ブレーキをかけるどころか、拍車をかけてしまった」と批判しました。
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