主張
学校教育法改悪
大学の自治守る共同をさらに
大学の自治を破壊する学校教育法・国立大学法人法の改悪法が、日本共産党などの反対、自民、公明の与党と民主、維新、みんななどの賛成多数で可決、成立しました。国会審議を通じ、「学長独裁」の運営を可能にし、大学の自治、学問の自由を脅かす悪法の重大な問題が明らかとなり、大学関係者の厳しい批判の声が広がりました。これを無視し、衆参合わせてわずか5日の委員会審議で打ち切り、国会最終日に強行した各党の責任が厳しく問われます。
教授会権限が焦点に
日本共産党の宮本岳志衆院議員は、学校教育法の制定時に教授会が大学自治の中心的担い手とされたことに照らして、教授会の権限を弱めれば学長独裁の大学に変質する危険を追及しました。
田村智子参院議員は、入試での合否判定を例に、教授会が教育研究の重要事項の実質的な決定権限をもつことを示しました。合否判定の教授会決定を学長が覆せば、恣意(しい)的判断が疑われ、大学の公正円滑な運営が阻害されます。
審議を通じて、文科省は、ことさら学長に最終決定権があることを強調する答弁に終始しました。教授会が持つ実質的な権限を奪うことに、法改悪の狙いがあることが浮き彫りとなりました。
政府は、改悪法の施行をうけて各大学が学内規則を見直す必要があるとし、そのためのガイドラインを策定することを明らかにしています。学内規則は「大学が主体的に決めるべきもの」と答弁しながら、実際には文科省主導で学内規則を変えさせるもので、大学への介入にほかなりません。
法改悪に反対する大学関係者の共同は、国公私立の違いを超えて大きく広がりました。大学教職員、大学院生、非常勤講師、若手研究者、さらには教授会や学会など、さまざまな立場から反対声明が上がったことは画期的なことです。
マスメディアも「この改革案は大学本来の強みを損ないかねない」「一律に学長主導を制度化しなくていい。右向け右は大学に最も似合わない」(「朝日」16日付)と批判する社説を掲げました。
法施行にあたっては、政府による大学介入を許さず、教授会の意見を尊重する学内規則を維持するかどうかが焦点になります。関係者の共同をさらに広げ、各大学で民主的合意をつくることが期待されます。
学長が教育研究の重要な事項を、教授会の意見を聞かずに決定することへの懸念に対して、参院文教科学委員会の付帯決議が「学長が教授会の意見を聴くことが必要な事項を定める際には、教授会の意見を聴いて参酌するよう努める」としたことは、今後に生かせるものです。
政府の介入を許さない
各大学の学長選考会議が学長像などの選考「基準」を定めるにあたって、「政府は介入するな」との田村議員の追及に、「決定過程及び決定後を問わず、その内容について干渉するものではない」と答弁したことも重要です。
学長が教学事項について教授会に委任することは「法律上禁止されない」ことも確認されました。
政府による大学介入を監視するとともに、憲法の学問の自由と大学の自治の原則にそって、「学問の府」としての見識を踏まえた民主的な大学運営を守るために、日本共産党も力を尽くします。