福島地裁支部

 東京電力福島第1原子力発電所事故の緊急作業に従事、国が示す年間被ばく線量の上限20ミリシーベルトを上回る20・49ミリシーベルトの被ばくを余儀なくされたのは安全配慮義務違反があったためだとして元作業員が7日、東電などに1100万円の損害賠償を求め、福島地裁いわき支部に提訴しました。

 緊急作業での安全配慮義務違反で東電を提訴するのは初めて。訴えたのは福島県内の2次下請け会社の元作業員の男性(48)で、2011年3月24日に3号機タービン建屋地下での電源盤へのケーブル接続作業などにあたりました。

 訴状によれば、ケーブル接続作業での被ばくは、原子炉の炉心溶融(メルトダウン)などで必然的に作業員が被ばくをするという危険な状況が作り出されたことが原因と強調。1号機の地下建屋にも高線量の放射性物質の汚染水がたまっていた事実を確認しながら東電はその情報を秘匿したと指摘。作業当日に現場の汚染水の事前確認、空間線量の測定を怠り、線量計の警報音を無視して作業の継続を命令するなどの不適切な対応で原告は無用な被ばくをさせられたもので、被告東電らは安全配慮義務違反に基づく損害賠償義務を負うと主張しています。

 元作業員が訴えたのは東電と、同社から緊急作業を受注した元請けの関電工、その1次下請けの恒栄電設の3社。