みんなの党と日本維新の会が、安倍政権にすりより国民の支持を失うなかで、「第三極」の混迷がいよいよ深刻になっています。 (前野哲朗)
みんな―「保守政党」
「支持率も相当さがった」。みんなの党の渡辺喜美代表は23日の党大会で自嘲気味に語りました。最新の世論調査での同党の支持率は1・6%(共同通信)で、1年前からほぼ半減。昨年末は秘密保護法で、安倍政権と「修正」合意するなかで国民との矛盾が広がり、党が大分裂して4割の議員が離党しました。
この中で渡辺氏が打ち出したのは露骨な「保守政党」宣言です。安倍晋三首相が前のめりしている解釈改憲=集団的自衛権の行使容認に理解を示すなど、首相に急接近。「非自民勢力を結集」「触媒政党」などとうたった「結党宣言」(09年8月)を完全に投げ捨てたのです。
渡辺氏は18日には維新の石原慎太郎共同代表と会談。その後、集団的自衛権の問題で「共同勉強会という機会も出てくるかも」と語り、かつて「右翼っぽくてついていけない」と言及した石原氏との連携すらうかがわせています。
維新―常時「分裂」
維新の支持率は1・8%(同・昨年同時期は8・3%)で、さらに失速しています。
東京都知事選では、石原氏が原発推進を訴えた田母神俊雄氏を支援する一方、松野頼久国会議員団幹事長が「脱原発」を掲げる細川護熙(もりひろ)氏を支援するという迷走ぶり。橋下徹共同代表も、大阪都構想が破たんするなかで大阪市長を辞職。大義なき「出直し市長選」で打開しようとしています。
維新は、石原氏が渡辺代表と対話を促進する一方で、橋下氏らが1月15日にみんなの党から分裂した結いの党・江田憲司代表と会談し、政策協議を始めています。石原氏離党の可能性も報じられるなど、分裂含みが常態化しています。
首相―協力求める
安倍首相は、混迷を深める両党を「責任野党」と呼び、集団的自衛権行使の容認などの「戦争する国」づくりで「翼賛勢力」として協力を求めています。
立憲主義を破壊する集団的自衛権行使を容認する解釈改憲には、世論調査(同)で過半数が反対。秘密保護法の廃止を求める声も広がっています。維新・みんなが安倍政権にすりよるほど、両党の危機的な状況はさらに深まらざるをえません。