戦後民主主義と世界秩序に逆行
集団的自衛権行使の容認に向けた憲法解釈変更や教育「改革」をめぐり、安倍晋三首相の“暴走答弁”が相次いでいます。米紙ニューヨーク・タイムズは解釈改憲への動きを強める安倍首相について「平和主義を拒否している」(19日付)と批判。海外とのあつれきを招いています。
「政府として責任をもって閣議決定し、そのうえで(国会で)議論いただきたい」
安倍首相は20日の衆院予算委員会で、憲法解釈変更についてこう述べて、国会審議抜きで、内閣が勝手に憲法解釈を変更できるとの考えを示しました。
これまでの憲法解釈をめぐる閣議決定は、国会での議論の積み重ねのうえに行われてきたもの。時の政権が国会審議も抜きで独断で変更できるような軽いものではありません。
答弁の中身も重大です。安倍首相は、派遣先から離れた場所で攻撃を受けた他国軍を守るために自衛隊が出かけて行って武器を使用する「駆けつけ警護」や、海外での「邦人救出」を口実とする武器使用まで可能にする自衛隊法改定を行う考えも明らかにしました。いずれも憲法9条で厳に禁止されている海外での武力行使に道を開く危険なものです。
安倍首相は「内閣が責任をもって決める。その最終的責任は私が負っている」と述べました。そんな権限は憲法上、首相や内閣になく、逆に憲法第99条で憲法尊重・擁護義務が課せられています。
さらに安倍首相は20日の衆院予算委員会で、自身が公言してきた「戦後レジーム(体制)からの脱却」について「捨てたわけではない」と発言し、戦後民主主義ひいては国際秩序に挑戦する姿勢を示しました。旧教育基本法によって「マインドコントロール(洗脳)」されていたと述べ、憲法、旧教育基本法に基づく戦後の教育を批判しました。
安倍首相の“暴走答弁”は、戦後世界の平和秩序に逆らい、「海外で戦争する国」づくりを狙うものです。だからこそ、安倍首相の狙いは世界から警戒されているのです。それを首相自身の独断で強行するというのは、“独裁者の暴走”にほかなりません。
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