NHKの籾井(もみい)勝人新会長は25日の就任記者会見で、旧日本軍の「慰安婦」問題について「日本だけがやってたようなことをいわれる。戦争をしているどこの国にもあった」と述べ、旧日本軍の歴史的犯罪行為である「慰安婦」の存在を合理化し当然視しました。「慰安婦は必要」と発言し国内外で批判を浴びた日本維新の会の橋下徹共同代表と同じ発想で、日本の公共放送を担う責任者として許されない重大な暴言です。

 籾井氏は、ドイツ、フランスなどの国名を挙げた上で、「欧州はどこだってあったでしょう」と発言。さらに「韓国が、日本だけが強制連行したみたいなことを言っているから話がややこしい。(補償問題などは)日韓条約で解決している。それをなぜ蒸し返されるのか」などと述べました。

 日本政府は1993年の河野官房長官談話で、「慰安婦」について旧日本軍の関与を認め、「強制的な状況の下での痛ましいものであった」ことを認めており、この見解にも逆行する発言です。

 また、第2次世界大戦で軍が組織的・系統的に「慰安婦」制度をつくっていたのは日本とナチス・ドイツだけとされる歴史的事実にも反します。

 籾井氏は昨年12月、安倍晋三首相の意向に沿う人物で固めたNHK経営委員会でNHK会長に選出されました。籾井氏から国際的にも批判を受ける暴言が飛び出したことで、問題の経営委員を送り込んだ安倍首相の責任が問われます。

歴史的事実にも反する

日本共産党 山下書記局長

 日本共産党の山下芳生書記局長は25日、NHKの籾井勝人新会長の暴言について、マスメディアの質問に答え、「日本軍『慰安婦』について軍の関与を認め謝罪した河野談話など政府の立場とも、歴史的事実とも異なるもので、公共放送の会長としての資格が根本から問われる」と述べました。