福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)3号機原子炉建屋内で水漏れが見つかった問題で、流れている水が高濃度の放射性物質で汚染されていることが明らかになりました。東京電力は20日の会見で、「格納容器内の水位は(格納容器から出る)配管の貫通部と同じくらいの高さにあるので、格納容器から出た水である可能性もある」と説明。溶融した核燃料に触れた汚染水が流出している可能性が高いとしています。
東電が19日に発表した測定結果によると、漏れた水に含まれていたのは、セシウム134が1リットル当たり70万ベクレル、セシウム137が同170万ベクレル、コバルト60が同2万5000ベクレル、全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)が同2400万ベクレルでした。水温は周辺の気温(7度)より高い約20度。
3号機では、原子炉内で溶融した核燃料を冷却するために、ろ過水を注水していますが、その放射性物質濃度はセシウム、コバルト60は検出限界値未満、全ベータは1リットル当たり2800ベクレルと低く、東電は、ろ過水が直接漏えいしたものではないとみています。
水漏れが見つかったのは、原子炉建屋1階の格納容器のそばにある主蒸気隔離弁室の扉付近。水が近くの床の排水口に流れ込んでいるのを、遠隔操作ロボットの画像を見ていた社員が18日に確認しました。公表された動画からは、水が波を立てながら流れている様子がうかがえます。水の出どころや流量について、東電は今後、調査するとしています。
注水した水の経路わからず
核・エネルギー問題情報センター事務局長の舘野淳・元中央大学教授(核燃料化学)の話 漏れた水は、炉心冷却のために注水した水と思われます。原子炉のひびや割れ目が進行して、それをつたって出てきているのかもしれません。原子炉に注水した水は、最後は建屋地下にたまるということはわかっていますが、どういう経路をたどっているのかについてはいまだ分かっておらず、ブラックボックスになっています。破断したパイプなどがあればそこから流れるでしょう。今回の漏水もその一つの表れで、今後、いろいろな形で汚染や水漏れが見つかるかもしれません。
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