主張
2014国民春闘
全力で賃上げをかちとろう
4月から8%への消費税増税が待ち受ける中、2014年国民春闘が幕を開けました。国民の生活防衛のためにも、日本経済を「デフレ不況」から立ち直らせるためにも、大幅な賃上げはかつてなく重要な課題です。
経団連は、経営側の春闘方針である経営労働政策委員会報告(経労委報告)を15日に発表し、ベースアップも含む「賃金水準の引き上げ」を容認する方向を打ち出しました。これは02年に発足した経団連が最初の経労委報告(03年版)で「ベースアップは論外」とのべて以来、一貫してきた賃上げ拒否論の破たんを示すものです。
デフレを招いた責任
日本の経済は、大企業が利益を賃上げに回さず、内部留保としてため込む方針を長期にとってきたために消費が落ち込み、「デフレ不況」という深刻な危機を招きました。経団連が発足した02年は、日本が戦後最長といわれる好景気がスタートした時期です。このときに基本給を底上げするベースアップを論外と主張し、内部留保の拡大に走ったのですから経団連の責任は重大です。
民間企業で働く労働者の平均年収は、02年の447万8千円から12年の408万円へと、約40万円減りました(国税庁「民間給与実態統計調査」)。一方で内部留保はほぼ100兆円増えています。安倍晋三政権と財界、連合による昨年11月の「政労使会議」に「経済の好循環実現検討専門チーム(座長・吉川洋東京大学大学院教授)」が注目すべき報告を提出しています。「なぜ、日本だけがデフレという悪循環に陥ったのか」とのべ、日本企業が90年代後半から国際競争力維持のために賃金抑制と内部留保の蓄積を追求し、その結果「企業の利益剰余金は300兆円を超える水準となる一方、賃金は低下した」といい、これは「正常とは言えない」という指摘です。
どうすれば「デフレ不況」から脱却できるかは、もはや明らかです。大企業がため込んだ内部留保の一部を労働者に還元することです。「経労委報告」は、内部留保の確保は企業の持続的成長に不可欠だと居直っています。しかし内部留保の全部を賃金に回せとだれもいっていません。わずか1%活用するだけで月1万円の賃上げができる大企業が8割です。
いま消費者物価が7カ月連続して上昇する一方で、賃金は依然として減少傾向です。このまま消費税が8%になる4月を迎えたら、国民生活は深刻な打撃をうけます。今春闘で全労連は「月1万6千円以上」の賃上げを要求します。連合も5年ぶりに「1%以上のベースアップ」要求をかかげました。企業の利益の一部を一時金の配分で終わらせるのではなく、基本給のベースアップ、安定した雇用の実現にむけて一丸となったたたかいが重要です。
労働者、国民が大結集し
経労委報告は、勤務地などを限定した低賃金の限定社員づくり、残業代なしで長時間働かせる裁量労働制の拡大など労働者を安上がりに使う労働法制改悪を強調しています。この実現を許さないたたかいも重要です。「企業が世界一活躍しやすい国」づくりをとなえて大企業応援、国民の暮らし破壊の安倍政権と財界の横暴にたいし、労働者、労働組合、国民が大結集したたたかいが期待されます。
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