主張
雇用破壊
非正規が中心の社会にするな
労働者派遣法と労働契約法を見直す議論が厚生労働省の労働政策審議会ですすんでいます。派遣など非正規雇用を拡大し、正規雇用を不安定化する安倍晋三政権の大企業応援政策の具体化です。早急に成案をまとめ、通常国会に法案を出す方針です。
非正規雇用の労働者はいまや1900万人を超え、役員を除く雇用者全体の37・2%に増えています(総務省「労働力調査」)。正規雇用に比べて賃金が低く、短い契約の反復更新という不安定な働き方の労働者を拡大する政策は、絶対に認めるわけにはいきません。
不安定な働き方が続く
労働者派遣法の見直しは、昨年末の審議会に公益委員案が示され、すでに骨格が明らかになっています。最大の問題点は、専門的業務指定を撤廃し、派遣期間制限を緩和したことです。
派遣業は、労働基準法と職業安定法で禁止されている「人貸し業」を、労働者派遣法で一定の制約のもと例外として合法化したものです。「臨時的・一時的な働き方」に限定し、派遣先の正規雇用の代替にしないことが原則です。専門的業務の指定(現在26)とその他の一般業務の使用期間制限(原則1年、最長3年)は、この原則を保障する重要な規制です。
専門26業務を撤廃し、使用期間も3年単位で継続使用を可能にするという公益委員案は、派遣法の原則を投げ捨て、「人貸し業」を野放しにする根本改悪です。製造業を中心に横行している派遣法違反のほとんどは、専門26業務と期間制限の違反です。この規制を取り除くのは、企業が正社員を減らして自由に派遣を利用できるようにすることにほかなりません。
派遣労働者の雇用安定のためだとして派遣会社への無期雇用をすすめ、その労働者は派遣期間を無制限にするという案も、でたらめきわまる空論です。労働者を無期雇用で雇い、世間並みの賃金、ボーナス、社会保険を保障できる財力をもった派遣会社がいったいどれだけあるというのでしょうか。結局、多くは有期雇用で、3年交代を繰り返す不安定な働き方が続くだけです。公益委員案の撤回を強く求めます。
一方、昨年4月に施行されたばかりの改定労働契約法を見直す異常な議論が、昨年末から審議会の特別部会で始まりました。改定法で、有期雇用契約を繰り返して5年を超えた労働者に、無期雇用への転換を申し出る権利が与えられました。企業は拒否できません。その「転換権」に、適用除外の例外を設けて権利を行使できなくしようという不当な検討です。
短期契約を更新しながら、契約打ち切り不安を抱えて働く労働者にとって、「転換権」は正社員への道を開く希望です。これを奪うことは許されません。
正社員への道開く
安倍首相は、6日の年頭会見で「有効求人倍率が6年ぶりに1倍を回復した」と胸をはりました。しかし主な要因はパート求人の増加です。雇用不安は増すばかりです。「企業が世界で一番活躍しやすい国」をめざし、企業が利益を拡大すればすべてうまくいくという政治では、働く人を大切にした雇用の拡大は期待できません。
労働法制改悪に反対し、安心して働ける正社員への道を切り開くたたかいの強化が急がれます。
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