主張
14年度軍事予算案
戦争態勢の強化は許されない
安倍晋三政権の2014年度軍事予算案は首相が進める軍備大増強路線に拍車をかけるものです。13年度比で1310億円増の2・8%増、4兆8848億円にのぼります。2年連続の増額です。
安倍政権が策定した「国家安全保障戦略」とそれを指針にした「防衛計画の大綱」(防衛大綱)「中期防衛力整備計画」(中期防)は、日本が国際社会で軍事的役割を拡大し、アメリカとともに海外で戦争する道をめざすものです。日本を海外で「戦争する国」に変える、戦争態勢強化の来年度軍事予算案を認めるわけにはいきません。
「統合機動」の具体化
防衛省は、来年度軍事予算案を「防衛大綱」でうちだした「統合機動防衛力の構築」への初年度予算と強調しています。「統合機動防衛力」とは、陸海空3自衛隊が一体で、アメリカが重視するアジア太平洋地域などで平時から「有事」にいたるあらゆる事態に対応するというものです。「国際平和協力活動」や、イラク戦争支援のようにアメリカが戦争を始めたときに必要に応じてどこにでも出撃し、「戦争する」態勢そのものです。
そのために「中期防」では、来年度から5年間に24兆6700億円をついやして自衛隊を大増強しようとしています。来年度軍事予算案はその初年度として、新たな装備を次々に導入する内容となっています。
1機約160億円もするF35戦闘機を4機買うため638億円(関連経費を含めると1446億円)を計上しているのはその最たるものです。合計42機の購入計画のうち2機はすでに予算化されていますが、今回さらに4機を追加し6機態勢になります。長距離・爆撃能力をもつ戦闘機は憲法違反だとするかつての政府見解に照らしても、F35は保有が許されるはずのない攻撃兵器です。
17億円かけて水陸両用車2両を購入するなど、「水陸両用部隊」用に39億円を投入するのも、陸自にアメリカ並みの海兵隊機能をもたせるためです。アメリカの海兵隊は紛争地に迅速に出動し、強襲上陸作戦を実施することを専門にする「殴り込み部隊」です。「専守防衛」とは相いれない攻撃的な部隊の新設は自衛隊の基本性格にもかかわります。
航続距離が3900キロもある米海兵隊が使っているのと同じ新型輸送機オスプレイを導入するのも「専守防衛」を逸脱するものです。1億円の調査費を計上したのは5年間で17機導入する計画の第一歩です。中東などで米軍が使用している無人偵察機の導入にむけ2億円の調査費を計上したのも、自衛隊の海外作戦能力の拡大につながります。
軍事費を削り生活に回せ
自衛隊を海外で戦争する部隊に仕立て上げる「統合機動防衛力の構築」は、軍拡と海外派兵を推し進め、日本を「戦争する国」にする時代錯誤の企てです。日米軍事同盟強化と自衛隊増強をむきだしにした軍拡路線はそもそも戦争を放棄した憲法9条に違反します。
消費税増税で国民に犠牲をおしつけながら、最大のむだである軍事予算を増やしつづけるのはとうてい許されません。軍事予算の異常な膨張をやめ、軍事費を削って暮らしにかかわる予算に回せという国民の切実な要求に応えることこそ、安倍政権の務めです。
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