主張
知事埋め立て承認
強圧と口約束 県民は屈しない
「県内移設は不可能といってきたのに土壇場でくつがえすとは許さない」―。沖縄の仲井真弘多(ひろかず)知事が名護市辺野古(へのこ)での米軍新基地建設のため、防衛省が申請していた沿岸部の埋め立てを承認したことに怒りが噴き上がっています。
埋め立て承認は新基地建設計画を前に進めるものであり、県民を裏切る暴挙です。県民はこの17年間、新基地建設のための杭(くい)一本打たせてきませんでした。知事が埋め立てを承認しても、県民が新基地を許すはずはありません。新基地を押し付ける日米両政府を追い詰めるたたかいを、さらに強めることが重要です。
沖縄県民を愚弄する圧力
「世界一危険」といわれる宜野湾市の普天間(ふてんま)基地を撤去する代わり、名護市辺野古に巨大な新基地を建設する計画は、もともと日米両政府が持ち出してきたものです。米軍基地の「県外移設」を求め「県内移設」に反対してきた仲井真知事が埋め立てを承認したのは、日米両政府が新基地建設を押し付け続け、とくに安倍晋三政権が異常な圧力を加え続けた結果です。
「県外移設」を公約して当選した沖縄出身の自民党国会議員に離党の脅しで「県内移設」を容認させ、それをテコに自民党沖縄県連に態度変更を強要しました。最後には安倍首相自身が乗り出して、沖縄振興予算の増額をちらつかせながら、仲井真知事に埋め立て承認を迫ったのです。文字通り「オール沖縄」で新基地建設に反対してきた沖縄県民を侮辱し、愚弄(ぐろう)するものというほかありません。
安倍首相がなりふりかまわず仲井真知事に圧力をかけたのは、9月に行われた日米首脳会談でオバマ大統領に「普天間問題をめぐる難局を打開する決意」を表明したのが背景です。埋め立てを早期に承認させ、新基地建設に踏み出そうというのです。対米約束実行のため県民の意思を踏みにじり、負担を押し付けるのは、絶対に許されることではありません。
仲井真知事が安倍政権に提出した要望書で実現を求めた、普天間基地の「5年以内の運用停止」などの負担「軽減」策や米軍の地位協定の「改正」などの要求に、安倍首相は「検討」や米側との「協議」は約束したものの、実行を約束したわけではありません。
県民が新基地建設に反対するのは、施政権返還後も、全国のわずか0・6%の面積しかない沖縄に米軍専用基地の74%が集中し、事故や騒音など基地被害に苦しめられ続けてきたからです。辺野古に建設する新基地に米海兵隊の新型輸送機オスプレイが配備され、強襲揚陸艦までが接岸できるようになれば、市民の命と暮らしがさらに脅かされ、自然環境が破壊されるのは明らかです。沖縄への異常な基地集中をそのままに、口約束だけで新基地を建設するなど許されることではありません。
名護市長選で意思示そう
最近の地元紙などの沖縄県内の調査でも、辺野古沿岸部の埋め立てを承認すべきではないという意見が64%に上っています。知事が埋め立てを承認しても県民が黙って引き下がることはありません。
県民の総意を踏みにじる埋め立て承認の撤回を求め、普天間基地の無条件返還のための世論を高めていくことが重要です。来年1月実施の名護市長選挙での、新基地反対を主張する稲嶺ススム市長の再選がきわめて重要です。
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