沖縄緊迫 あす可否判断
沖縄県名護市辺野古(へのこ)への米軍新基地建設のための埋め立て申請の可否判断が27日に迫るなか、県議会野党会派や市民らが呼びかけた沖縄県庁包囲行動が25日昼に行われ、1500人超が参加しました。
「屈しない」「不承認!」。激しい雨の中、真っ赤なメッセージボードがいっせいに掲げられました。
参加者は次々とマイクを握り、仲井真弘多(なかいまひろかず)知事に「歴史に残る英断を」と不承認を求めました。
日本共産党県議団の渡久地(とぐち)修幹事長は、「平成の『銃剣とブルドーザー』が県民に襲いかかろうとしている。知事が政府の言いなりにならないよう、沖縄の世論を高めていこう」と訴えました。
辺野古で座り込みを続ける「ヘリ基地反対協」の安次富(あしとみ)浩共同代表は、「知事が沖縄振興策と引き換えに基地を認めれば、私たちは本当に『ゆすり・たかりの名人』になってしまう」と危機感を募らせました。
終了後、包囲行動の実行委は不承認を求める緊急宣言を高良(たから)倉吉副知事に手渡しました。
高良副知事は「知事は沖縄に戻り、自らの言葉で責任を持って年内に決断の結果を発表する」と述べました。
「フェイスブック」で包囲行動を知り、8歳の娘と参加した女性さん(48)=浦添市=は「知事は政府の圧力があると思うが、沖縄戦を体験し、平和を希求する県民の気持ちを受けとめ、不承認にしてほしい」と話しました。
県庁包囲行動は27日も行われます。
首相提示の沖縄策―どこが負担軽減
普天間5年内停止⇒言質与えず オスプレイ訓練激化
「驚くべき立派な内容。140万県民を代表して心から感謝する」。仲井真弘多知事はこう述べ、安倍晋三首相が提示した「沖縄振興・基地負担軽減」策を絶賛しました。
しかし、首相が提示した内容は辺野古への新基地建設を前提とした従来の日米合意を一歩も出ておらず、仲井真氏が17日の沖縄政策協議会で示した要望に、何らまともに応えていません。
最大の問題は、普天間基地の「5年以内の運用停止」という要望に対して、首相は具体的な時期について一切、言質を与えていないことです。日米合意では、新基地建設と普天間「返還」の時期は、「2022年度またはその後」となっています。この線を一歩も超えてはいません。
オスプレイ機についても、仲井真氏は、普天間に配備されている24機のうち、12機の「県外配備」を要望していました。これに対して首相が示したのは、オスプレイの「訓練等の約半分を県外で行う」というものです。
しかし、オスプレイは昨年の配備以来、すでに山口県岩国市や四国、滋賀県など本土での訓練を拡大。ヘーゲル米国防長官も、「すでにオスプレイの訓練の約半分は沖縄県外で行われている」との認識を示しています。
その一方で、沖縄・伊江村にはオスプレイ用の着陸帯が6カ所建設されるなど、沖縄の北部地域では訓練が激化しています。
キャンプ・キンザー(牧港補給基地=浦添市)の「7年以内の全面返還」についても、沖縄県内やグアムなどへの機能移転という、すでに破たんした「基地たらい回し」が前提です。移設条件がついている限り、「7年以内」返還はまず不可能です。
仲井真氏は、埋め立て申請の可否を27日に表明する意向です。そもそも、政府との「条件闘争」に持ち込まず、無条件で不承認にせよ、というのが県民総意です。しかも、首相が提示した内容は、埋め立て承認と引き換えの「条件」にすらなっていません。
仲井真氏も、「名護市長と名護市議会がいやだといっている」と認めています。政府はこれ以上、沖縄に圧力を加えるべきではありません。(竹下岳)