「しんぶん赤旗」

猪瀬氏辞任 「オール与党」で福祉に冷たく大型開発優先―都政ゆがめた知事の末路

2013/12/20 11:42 投稿

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5000万円裏献金疑惑

“共産党の追及が決定打”

40f6149500e253595ca77f7ab51bb9be3e1bd830 医療法人「徳洲会」から5000万円の裏献金を受けていた猪瀬直樹・東京都知事が19日、就任からわずか1年で辞職に追い込まれました。石原慎太郎前知事の都政投げ出しに続き、東京都は3年間で3回も知事選を行うという、前例のない事態に追い込まれています。(岡部裕三)

 9月8日(日本時間)の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年夏季五輪の東京招致を世界にアピールした「お・も・て・な・し」。実は、流行語大賞にも選ばれたこの「お・も・て・な・し」を、徳洲会から受けていたのが、開催都市・東京の知事自身でした。知事就任後わずか1年と1日での辞職は、都知事在任期間の最短記録を更新しました。

 19日の辞職会見で猪瀬氏が口にしたオリンピックの言葉は24回。疑惑の真相を明らかにする言葉はひと言もありませんでした。

百条委員会設置を受け
 
b25e779e7ef0b4b214f2c3f173203f17900c224d 猪瀬氏が辞職の意思を副知事ら都幹部に伝えたのは、18日深夜。ある幹部は「知事は簡単にはやめないと思っていたが、都議会が百条委員会設置方針を決めたことを深刻に受け止めていたようだ」と語ります。

 都職員からは「共産党の追及と百条委員会提案が決定打になった」の声があがります。

 日本共産党は本会議の一般質問で白石たみお都議、総務委員会で清水ひで子都議が、徳洲会の都心進出の意向に沿う形で、当時の猪瀬副知事が東電病院売却に介入した疑惑を追及。河野ゆりえ都議、徳留道信都議も本会議代表質問、総務委員会で徳洲会からの裏献金疑惑を追及しました。

 6月の都議選で議席を17に倍加し、都議会第3党に躍進した日本共産党の発言時間が倍増したことが、疑惑追及に大きく貢献しました。

暮らし第一都政転換を
 
 昨年10月、任期を2年半も残して都政を投げ出した石原前知事の後継指名を受け、猪瀬氏は12月の知事選で自民党、公明党、日本維新の会、民主党やみんなの党の議員の支援を受けて当選。政策は石原前都政の継承、政治資金のスポンサーの企業・団体も石原氏から譲り受けました。

 知事就任後は、安倍内閣の「アベノミクス」政策に追随し、今年5月に国に提出した「国家戦略特区」の提案書「アジアヘッドクオーター(アジアの司令塔)特区」では、外国の多国籍企業誘致のため大幅な法人税減税を表明するなど、大企業の利益優先の方針を打ち出しました。

 「東京標準時」として標準時間の2時間前倒しやカジノ誘致構想などを打ち出しました。猪瀬都政の基本政策は、石原前知事が推進した五輪東京招致、外資系企業に大減税して都心呼び込み、東京外環道など3環状道路建設、土壌汚染地に築地市場を移転する豊洲新市場計画などでした。

 国民健康保険料の負担軽減、都営住宅の新築など都民の暮らし・雇用、中小業者の営業支援をはじめ、都民の福祉やくらしの願いには冷たく背を向けてきました。

 東電病院の売却をめぐる贈収賄の猪瀬氏の疑惑は、大型開発優先で福祉に冷たい政治の流れのなかで生まれたゆがみです。知事辞職で疑惑究明を終わらせることは許されません。日本共産党都議団は、引き続き疑惑究明のため、百条委員会の設置を要求しています。

 来年2月に予定されている都知事選は、石原、猪瀬の両氏と「オール与党」が推進した都民施策に冷たく、大企業優先の浪費拡大都政にストップをかけ、都民のくらし第一の都政に転換するのかどうかが、大争点となります。

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