主張
秘密保護法案
戦争推進する悪法許さない
安倍晋三政権が国会に提出した秘密保護法案をめぐり、自民・公明の与党と一部の野党が法案を成立させるための「修正」の協議を始めています。秘密保護法は防衛、外交など「安全保障」にかかわる情報を「特定秘密」に指定し、国民の目と耳、口をふさぐ希代の悪法です。今国会に提出されている国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案などと一体で、日本がアメリカといっしょに海外での戦争に踏みだすことを狙ったものです。国民の「知る権利」や憲法の平和原則を踏みにじる悪法を、形ばかりの「修正」で成立させるなど絶対に許されません。
アメリカの戦争に参加
秘密保護法案はもともと、アメリカが始めた戦争に日本を参加させるために、秘密情報を日本に提供する代わりに日本に制定を迫ったことがきっかけです。2005年の日米安全保障協議委員会(2プラス2、外交・軍事閣僚協議)で秘密情報保護のために「必要な追加的措置をとる」と合意し、07年には「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA、ジーソミアと呼ぶ)の締結を押し付けました。
日米間には以前から、在日米軍の秘密を守る刑事特別法やアメリカが提供した武器や装備の秘密を守るための協定がありますが、アメリカが海外で始める戦争に日本を本格的に参加させるためには、秘密を保護する法律が新たに必要だというのがその背景です。
安倍首相が今国会で、日本版NSCの設置法案とともに秘密保護法案を成立させると繰り返しているのはその最たる証拠です。日本版NSCは首相が主導する外交・安全保障の「司令塔」で、アメリカのNSCなどと秘密情報を共有する「戦争司令部」です。安倍首相は「NSCの機能を発揮させるには秘密保護法がどうしても必要」といいます。秘密保護法で国民の目と耳、口をふさぎ、NSCを使って戦争への道を進むというのが筋書きです。
安倍首相が狙っているのはそれだけにとどまりません。安倍首相は日本版NSCの設置が決まれば、年内にも「国家安全保障戦略(NSS)」を決め、軍拡の基本計画になる「防衛計画の大綱」を新たに決めようとしています。政府が検討しているその中身は、これまでの「専守防衛」などの原則も投げ捨て、自衛隊が海外の戦争に乗り出すことを認めるものです。
さらに来春には、安倍政権が虎視たんたんと狙ってきた「集団的自衛権」の行使に向け憲法解釈を変更し、「国家安全保障基本法」など法整備を行うことを予定しています。来年の末までにはアメリカと共同で戦争する計画である「ガイドライン」の見直しを終えることも計画しています。日本を海外で「戦争する国」につくりかえるのを許さないために、秘密保護法案は廃案にするしかありません。
11・21大集会の成功を
日本国民は戦前、「軍機保護法」などの弾圧法で目も耳も口もふさがれ、政府と軍部が進めた戦争で甚大な被害を受けました。日本社会を文字通りの暗黒社会に逆行させるわけにはいきません。
21日には東京の日比谷野外音楽堂で「ストップ!『秘密保護法』大集会」が開かれるなど、国民の反対も広がっています。秘密保護法案の廃案を求める声を今こそ突きつけようではありませんか。