主張

文化の日

自由と平和の原点を見つめて

 文化の日は今年で65周年を迎えました。国民の祝日に関する法律は、この日を「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日と定めています。祝日法を審議した国会で山本勇造参院文化委員長(作家の山本有三氏)は、11月3日が戦争放棄を宣言した新憲法公布の日だとしたうえで「平和を図り、文化を進める意味で、この日を文化の日と名づけた」(1948年7月4日、参院本会議)とのべました。

暴走政治が文化に影響

 この「文化の日」の原点がいまほど大切になっている時はありません。安倍政権が危険な暴走をし、それが文化の分野にも害悪を及ぼそうとしているからです。

 例えば、臨時国会に提出された秘密保護法案です。法案が強行されれば、表現の自由、文化活動の自由にも重大な影響を与えます。ノンフィクションやドキュメンタリーをはじめ社会問題を扱う作品の取材は阻害され、国民の「知る権利」が奪われます。政治や軍事の闇に迫る作品が「秘密」漏えいを理由に、最高懲役10年で罰せられることにもなりかねません。

 TPP問題でも、著作権の保護期間延長や非親告罪化など知的財産の分野で意見の分かれている問題が、国内の議論も反映されないまま、米国の意向にそって強行される可能性が生じています。

 こうした動きを食いとめることは、文化活動の自由を守り、発展させるためにも急務です。

 芸術・文化は、人々の暮らしに希望とうるおいを与え、豊かな人間形成になくてはならないものです。文化をつくり楽しむことは国民の権利であり、その条件を整えることは政治の責務です。

 ところが、日本では、国家予算に占める文化予算の比率がフランスや韓国の8分の1程度という貧困な文化行政が続いてきました。しかも安倍政権は、来年度予算概算要求でも、芸術団体の助成の中心である重点支援の削減という逆走を続けています。

 それだけではありません。来年4月に予定される消費税8%への増税は国民のふところを直撃し、文化に接する機会も奪います。芸術・文化団体にとっても、消費税増税は、制作費や宣伝広告費、印刷費、事務所維持費などありとあらゆる負担が増え、文化の創造と普及への大打撃となります。

 こうした安倍政権の暴走政治にたいして、いま、芸術家・文化人の良識ある批判と反撃の声とたたかいが新たに大きな広がりを見せています。

 秘密保護法案にたいしては、日本ペンクラブが10月25日、閣議決定に抗議し、廃案を求める声明を発表しました。TPP交渉参加には、日本劇作家協会が7月に緊急アピールで反対を表明し、日本演劇協会をはじめ芸術団体の賛同が広がっています。

 再稼働反対、原発ゼロを求める運動やヘイトスピーチ(憎悪表現)に反対する運動には、若い作家やミュージシャンらが多く参加し、勇気ある声をあげています。

新たな共同ひろげて

 日本共産党は、安倍政権の暴走と対決し、文化予算の抜本増額、芸術団体の持続的発展を支える助成の充実、芸術家の権利を守るルールづくりなどの対案を掲げ、その実現に力をつくします。芸術団体や文化人のみなさんとの新たな共同を広げていきます。