「総理の意思」「後れとるな」
刑法が禁じる賭博の施設・カジノを合法化する法案を自民、民主、維新、公明など超党派国会議員のカジノ議連「国際観光産業振興議員連盟」(会長=細田博之自民党幹事長代行)が今国会に提出する構えをみせる中、地方のカジノ誘致推進派の動きが勢いを増しています。「日本カジノ創設サミット」が24日開かれた北海道小樽市では―。 (竹腰将弘)
カジノでは定番のルーレット、ブラックジャック、ビックシックスにチップを賭け、打ち興じる人たち。小樽市内のホテルで行われた「カジノサミット」の特別イベントとして行われた“模擬カジノ”は、異様な盛り上がりをみせました。
「カジノサミット」は、各地のカジノ推進派の11団体でつくる全国カジノ誘致団体協議会が2003年から持ち回りで開いているもので今回が8回目。開催地・小樽の経済団体関係者ら約200人が参加しました。
シンポジウムでは、カジノ議連副会長である野田聖子自民党総務会長、高橋はるみ北海道知事、中松義治小樽市長がそろってあいさつ。小樽商工会議所会頭の山本秀明氏が「カジノは地域の起爆剤」とのべ、世界から観光客を呼び込み、地域経済が活性化するという「バラ色の未来」が語られました。
補助金を支出
北海道内では、小樽市のほかに、釧路市、苫小牧市がすでにカジノ誘致を正式表明。手をあげる自治体はさらに増える模様で、道内だけでも争奪戦が起きる過熱ぶりです。
地元北海道4区選出の中村裕之衆院議員(自民党)は「(カジノ議連の)会長に(自民党の)細田博之幹事長代行が座ったのは安倍総理の意思の表れ。これだけ多くの政党が超党派で提案する法案は通るということだから、3市はそれぞれ後れをとるな」とあおりたてました。
小樽市は、この「カジノサミット」のために補正予算を組み、20万円の補助金を支出しました。市民の間からは「品が無い」などの声があがりましたが、市議会でこれに反対したのは日本共産党だけでした。
日本共産党の北野義紀市議は「カジノで小樽が栄えるなどと考える市民はいない。幅広く呼びかけ、反対の運動を広げたい」と語っています。
市民から批判
経済関係者などがカジノ誘致で盛り上がりをみせる一方、批判の声が広がっています。
小樽運河の保存などまちづくりに30年来かかわってきた同市稲穂の渡邊眞一郎さん(65)は、「市内の主だった団体がそろった『推進協議会』ができているが、必ずしも賛成でない人まで役員にされたときいている。こういう形でカジノをつくられては困る」といい、近くカジノ問題を考える市民の集いを開くといいます。
全国カジノ誘致団体協議会の構成11団体
全国カジノ誘致団体協議会の構成団体(11団体)は次のとおり。
「ひがし北海道統合観光リゾートIR誘致協議会」(北海道釧路市)▽NPO法人イーストベガス推進協議会(秋田県)▽いわき経済同友会(福島県いわき市)▽熱海カジノ誘致協議会(静岡県熱海市)▽能登にラスベガスを創る研究会(石川県珠洲市)▽日本カジノ健康保養学会(徳島県)▽那覇商工会議所(沖縄県那覇市)▽小樽国際観光リゾート推進協議会(北海道小樽市)▽堺商工会議所(大阪府堺市)▽堺都市政策研究所(同)▽和歌山社会経済研究所(和歌山県)
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