“これでは生きられない”
安倍自公政権が8月から実施した生活保護基準額の引き下げをめぐり、全国の生活保護利用者が行政に対し一斉に行った不服審査請求が1万件を突破しました。生活保護や貧困問題に取り組む諸団体が11日、厚生労働省で記者会見し、報告しました。
安倍政権は、世帯平均6・5%、最大10%の保護基準額引き下げにより段階的に670億円の保護費削減をすすめようとしています。
審査請求は全都道府県に及び、合計で1万191件(別表)に上りました。「生活保護基準引き下げにNO! 全国争訟ネット」共同代表の尾藤廣喜弁護士は「このままでは生きていけないという当事者の怒りの表れ」とのべました。
全国生活と健康を守る会連合会の安形義弘会長は、「いままで声を上げられなかった生活保護利用者が主役になった運動でもあると思う。さらに広げて、世論をつくりたい」と話しました。
「STOP! 生活保護基準引き下げ」アクション呼びかけ人代表の宇都宮健児弁護士は、政府の社会保障審議会生活保護基準部会の委員の“物価が上がれば保護費は上げるものと了解している”という発言を紹介。「物価も上がり、消費税増税も実施されれば利用者にとってはトリプルパンチ。基準部会に利用者や支援者を入れ、実態を十分に調査すべきだ」と指摘しました。
会見に先立ち、生活保護基準引き下げの撤回と、同部会での慎重な検討を求める要望書を田村憲久厚労相と、駒村康平部会長あてに提出しました。
審査請求 生活保護費の減額を知った日の翌日から60日以内に、都道府県知事に対して、減額を取り消すよう不服申し立てができます。書面などの審理をへて、申し立てから50日以内に知事による裁決が出ます。裁決に不服であれば提訴、もしくは厚生労働大臣に再審査請求ができます。