主張
「日米2プラス2」
軍事同盟強化への露骨な執念
アメリカからケリー国務長官とヘーゲル国防長官が日本に乗り込み、岸田文雄外相、小野寺五典防衛相と会談した日米安全保障協議委員会(略称・日米2プラス2)は、「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」という共同発表のタイトルが示すように、日米軍事同盟強化への露骨な執念を浮き彫りにする場となりました。
日本がこれまで以上にアメリカの軍事戦略を支えることを約束したのが特徴です。日本の自衛隊増強と日米軍事同盟強化は、国民の暮らしと日本の平和だけでなく、アジアと世界の平和をも脅かすことになるのは避けられません。
自衛隊の役割が増大
「日米2プラス2」が日本で開かれたのは、1996年以来17年ぶりです。96年の米側出席者は国防長官と駐日大使で、両国の4閣僚がそろったのは初めてです。
出席した当事者自身が「歴史的な会合」と呼ぶ今回の「2プラス2」は、アジア太平洋地域における「変化する安全保障環境」に対応するとして、1997年に改定された「日米防衛協力のための指針」(いわゆるガイドライン)の見直しや米軍再編の加速などを決めました。
見過ごせないのは、共同発表が日米の戦略は「アジア太平洋地域およびこれを超えた地域における安全保障および防衛協力の拡大」を「基礎としていく」とのべ、「地域及び世界の平和と安全に対してより積極的に貢献する」との日本の決意を歓迎したことです。これは自衛隊が世界のどの地域でも米軍と一体になって軍事活動を起こす危険を示すものであり、自衛隊は「自衛のための最小限度の実力」という政府見解に照らしてさえ許されないものです。
共同発表が2014年末と期限を切って見直すとしたガイドラインは、最初1978年に策定され、97年に改定されたものです。97年のガイドラインにもとづいてアメリカの戦争を支援する「周辺事態法」などがつくられたことが示すように、改定ガイドラインはアメリカといっしょに戦争に参加する道に踏み出したものです。日本の憲法上の制約から武力行使に直接参加できないなどの条件がありますが、今回合意した見直しが、そうした制約さえ取り払うものとなる危険は重大です。
「2プラス2」の共同発表が、安倍首相が進めている「集団的自衛権の行使に関する事項を含む自国の安全保障の法的基盤の再検討」を、米側が「歓迎」したかのようにのべていることも重大です。「集団的自衛権」とは日本が武力攻撃されてもいないのに、アメリカを助けるために日本が武力を行使することです。日本が当事者でないのにアメリカの戦争に参加するのは、国民の平和と安全を破壊するものです。
平和に役立たない
「2プラス2」はこうした一連の軍事同盟強化を、中国や北朝鮮などアジア太平洋地域での「安全保障環境の変化」を理由に正当化していますが、軍備増強や軍事同盟強化で平和が実現しないことはいまや世界の常識です。国際紛争は戦争ではなく、話し合いで解決するというのが大勢です。
国民に犠牲を背負わすだけで平和に役立たない軍事同盟強化はただちにやめ、憲法にもとづく平和的安全保障の道を進むべきです。