「安倍晋三首相の企業優遇は、度を越していると言わざるを得ない」(北海道新聞25日付社説)。安倍首相が打ち出した復興特別法人税の廃止方針について地方紙が批判の社説を掲げています。
神戸新聞25日付は「消費税増税 危うい企業優遇への偏り」の見出し。消費税増税実施に向けた「経済対策」といっても中身は公共事業や設備投資減税、復興特別法人税の1年前倒し廃止などであり、家計に対する支援は「二重、三重の手厚い企業支援策に比べれば見劣りする」と指摘しています。
高知新聞22日付も「個人の負担は増えるのに、企業の負担は1年前倒しで軽くする」と述べて、1年前倒しの復興特別法人税廃止を問題にし、「法人税を納める黒字企業には既に多額の内部留保がある。あまりにもバランスを欠いていないか」と批判。
信濃毎日新聞21日付は「法人の廃止分は残り1年とはいえ、税収減は約9千億円と見込まれる。回り回って個人の収入増につながると言われても、消費税増税の痛みを直接受ける家計より、企業がなぜ優遇されるのか、との疑問は拭えない」と論じています。
“法人税減税で賃上げ・雇用増につながる”とする安倍首相の言い分にも疑問を投げかけています。
北海道新聞25日付は「経済効果自体が疑わしい。法人税を納めていない赤字企業が約7割に上り、減税の恩恵を被るのが一部の優良企業にとどまるからだ。弱い企業は置き去りにされ、従業員の賃上げにもつながらない」と指摘。沖縄タイムス26日付は「そもそも企業が減税分を賃上げに回す保証はない。内部留保(もうけの蓄え)を積み上げるだけで終わる可能性も否定できない」と述べています。