両党関係のいっそうの発展で合意
【ハノイ=面川誠】日本共産党の志位和夫委員長は23日、ハノイのベトナム共産党本部でグエン・フー・チョン書記長と会談し、両党関係のいっそうの発展で合意し、核兵器廃絶と東アジアの平和構築に向けて協力を進めることを確認しました。旧知の2人は再会を喜び合い、会談は夕食会も含め3時間近くに及び、双方が関心をもつ幅広い問題について、率直で突っ込んだ意見交換となりました。
両党関係
志位氏は、前回2007年の訪問で、両党が世界とアジアの平和のための協力、理論交流の実施に合意して以後の両党関係の発展に触れ、「この関係をさらに発展させることを希望しています」と述べました。
チョン氏は、「市場経済を通じて社会主義へ進むという点で日本の同志から良いヒントをもらってきました」とこの間の4回の理論交流の成果を評価。世界とアジアの平和のための協力にも触れつつ、今回の訪問が両党関係を「新しい時代に新しい高みに引き上げることを確信しています」と述べました。
核兵器廃絶
志位氏は世界とアジアの平和のための課題として、核兵器廃絶について、現在の焦点が「核兵器禁止条約(NWC)の交渉開始」にあると指摘し、「2015年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けて『核兵器禁止条約の交渉開始』が国際社会の合意になるよう両党の協力を図りたい」と提案。チョン氏は、「一貫して核兵器に反対するということがベトナムの立場です」と語り、この問題での協力を確認しました。
東アジアの平和
志位氏は東アジアの平和構築について、東南アジア諸国連合(ASEAN)で、東南アジア友好協力条約(TAC)、東南アジア非核地帯条約、ASEAN地域フォーラム(ARF)、南シナ海行動宣言(DOC)など重層的な平和の枠組みが発展していることに注目していると語り、「その精神は『武力不行使、紛争の平和的解決』に徹するということにあると思います。この流れを北東アジアにも広げたい。TACのような多国間の対話の枠組みを北東アジアにもつくることを展望したい」と表明しました。
そのために、北朝鮮の核兵器問題、東シナ海の領有権問題、日本の歴史問題での逆流などを解決することが必要となっていると指摘し、「東アジアの平和構築という課題でも両党間の協力を願っています」と述べました。
チョン氏は、「武力不行使、紛争の平和的解決という同志の意見に賛成します」「ベトナムはASEANの積極的なメンバーとして、ASEANの合意を実施するために責任ある行動を取っています。東南アジアは躍動的に発展し、地政学的に重要な地域になっています。国際法と相互尊重に基づく紛争の平和解決に取り組んでいます。海洋紛争は国連海洋法条約に基づいて解決すべきと考えています」と表明しました。
この問題にかかわって志位氏は、尖閣諸島問題について、日本の領有は正当なものと主張していること、解決にあたっては物理的・軍事的対応でなく、冷静な外交交渉が必要だという立場を紹介しました。チョン氏は、南シナ海の紛争問題について、時間はかかっても粘り強い外交交渉で解決を図るとの立場を説明しました。
ドイモイ
志位氏は、ベトナムが進めている経済・政治でのドイモイ(刷新)政策の成功を期待していると表明。チョン氏が昨年キューバで行った演説で、ドイモイの諸成果は「社会主義志向に沿った発展」が「同じ発展水準にある資本主義諸国に比べて、経済発展、所得の増加、貧困削減、社会保障など、社会諸問題をより良く解決できることを証明している」とした点に注目していると語りました。
これに対してチョン氏は、「社会主義志向」は政治、経済、社会・文化、国際などあらゆる分野に及ぶと指摘。「市場経済を通じた社会主義へ」の模索の中では、「社会主義志向と市場経済の発展をどう両立させるか」など未解明の課題が当然あり、「政策を現実の中で検証しながら総括し、前進するという立場を取っています」と述べました。
志位氏はまた、原発ゼロと原発輸出反対、環太平洋連携協定(TPP)反対という日本共産党の立場を説明。チョン氏は、志位氏の説明が連帯と友情を表しているものと謝意を表しました。
双方は、今回の日本共産党代表団の訪問が両党間の信頼と友好をいっそう深める契機になったことを喜び合いました。
終始、真剣かつ温かい雰囲気の中で行われた会談には、日本側から緒方靖夫副委員長(国際委員会責任者)、笠井亮衆院議員(党政策委員会副責任者)、森原公敏幹部会委員(国際委員会事務局長)、ベトナム側からホアン・ビン・クアン中央対外委員長、ブー・ズン書記長補佐官(元駐日大使)らが参加しました。
コメント
コメントを書く