主張

婚外子差別は違憲

法律上のすべての差別解決を

 「長い間の無念解消の時期が来た」「法改正を一刻も早く」―。

 婚外子の遺産相続分は、結婚している夫婦の子の半分という民法の規定(900条4項ただし書き)は違憲とする最高裁判所大法廷の決定を歓迎し、法改正をもとめる声が大きくひろがっています。

“改正へのメッセージ”

 日本共産党は、広井暢子副委員長が「違憲判断を受けとめ、国は直ちに法改正を」との談話を発表し、政府に一刻も早い、民法などに残された差別規定の撤廃をはかることをもとめるとともに、党としてもいっそう力をつくす決意をあきらかにしました。

 菅義偉官房長官は、「できる限り早く対応する」とのべ、秋の臨時国会への法案提出に前向きな考えを示したとされています。政府は臨時国会に必ず民法改正案を提出すべきです。

 歴代の政権はこれまで、1996年に婚外子差別是正を含む民法改正の法制審議会答申がだされてからも、一貫してサボタージュをつづけてきました。

 多くの国民の民法改正の願いにこたえず、国連自由権規約委員会、社会権規約委員会、女性差別撤廃委員会、子どもの権利委員会などからの厳しい批判と早期の是正の勧告も無視し続けてきました。その責任は重大です。

 今回の最高裁決定は、選択する余地のない事柄を理由に子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきとの考えを明らかにし、個人の尊厳と法の下の平等を定めた憲法に照らして判断しています。

 また、1995年に最高裁大法廷が「合憲」の判断をくだしてから18年をへて、結婚や家族のあり方にたいする国民の意識の多様化・変化や、先進国で是正していないのは日本だけで、国連からも条約にもとづく是正勧告がくりかえしおこなわれていることなどを指摘しています。

 決定は、憲法の理念と国際的な到達にたった、だれも否定することができない当然の判断です。訴訟を支えてきた弁護団は、裁判官全員による今回の違憲決定を、「立法府に民法改正を迫るメッセージ」と表現しています。

 政府が法改正の遅れを国民の世論をあげて合理化してきたことにたいし、国連女性差別撤廃委員会は“それは理由にならない”と厳しく批判してきました。批判、是正勧告をいまこそ真摯(しんし)にうけとめ、法整備を早期にすすめることこそ、政府の責任です。

ともに、必ず実現を

 日本では、相続差別以外にも婚外子に対する法律上の差別が残されています。この差別をなくすことは、国際基準にたった初歩的なルールづくりです。ただちに解決がもとめられています。

 「政府は、今度こそ民法改正をおこなえ」「法律上のすべての差別をなくそう」―。最高裁の決定にそった相続差別の是正を一歩に、選択的夫婦別姓制度の実現、戸籍法に残された婚外子差別規定撤廃など、法律上のすべての差別をなくすための声と運動を大きくひろげていこうではありませんか。

 日本共産党は、婚外子の相続差別撤廃、選択的夫婦別姓制度の実現など法律上のすべての差別の解決をもとめつづけてきた党として、みなさんと力をあわせ、いっそう力をつくす決意です。