各地で続出
生活保護制度の発足以来、最大の保護基準引き下げが自民・公明政権によって強行されたことに対して、保護費減額の撤回を求める審査請求の運動が全国で急速に広がっています。そのなかで福祉事務所に審査請求書を提出しにいくと、「府・県庁に行くように」と受け付けない誤った対応をする福祉事務所が各地で続出していることが分かりました。
適正な手続きを 厚労相に4団体
「生活保護基準引き下げにNO! 全国争訟ネット」や全国生活と健康を守る会連合会(全生連)など4団体の代表は19日、「適正な審査請求手続の確保を求める要望書」を田村憲久厚生労働相あてに提出しました。
要望書は、福祉事務所にも審査請求を受け付ける義務がある(行政不服審査法)ことの周知徹底▽福祉事務所は、生活保護利用者が審査請求をしたことを理由として不利益な取り扱いを行ってはならないことの周知徹底▽審査庁(都道府県)の審査体制整備の指導と援助などを求めています。
代表らは申し入れに先立って記者会見しました。
全国争訟ネットの小久保哲郎弁護士は、インターネットや6、7日に実施した全国一斉ホットラインなどを通じて1日以降9件(大阪市、横浜市、沖縄県、仙台市、大阪府寝屋川市など)の審査請求妨害の相談・報告が寄せられたと紹介。大阪市では、本庁が各福祉事務所に対して、「まずは府庁に提出せよ」と指示するよう指導をしていたことが判明し、仙台市の事例では、弁護士が間に入ってやりとりしましたが、受け付けるまで2時間かかったといいます。
小久保弁護士は「こうした事例は氷山の一角と思われる」と指摘。同省が9日付で都道府県に出した事務連絡(審査請求人が審査請求書を福祉事務所に出した場合は福祉事務所が都道府県知事に送付する)のいっそうの周知を求めました。
全生連の安形(あがた)義弘会長は、一連の妨害の動きとは逆に、福岡市ではすべての福祉事務所の窓口に審査請求についての説明書を置き、記入の仕方を丁寧に伝えている、と紹介しました。