主張

保育「新制度」

親の願いに逆行、ストップ!!

 安倍晋三政権の暴走は、保育分野でもとどまるところをしりません。「成長戦略」で「5年で待機児童ゼロ」を掲げる一方、「規制改革」や「社会保障制度改革」で、保育への企業参入の拡大、基準緩和などの規制緩和をすすめようとしています。

 そうしたなか、10日から12日までの3日間、神奈川県で第45回全国保育合同研究集会(保育合研)がひらかれます。「全国の保育実践から学びたい」「保育のこれからは」…。保育関係者の豊かな交流がおこなわれます。

政府の具体化急ピッチ

 いま政府は、民主党政権時代に民主、自民、公明の3党合意で強行した「子ども・子育て支援新制度」の2015年4月からの本格施行をめざし、急ピッチで具体化を進めています。市町村に、国の方針にそった計画策定の準備をさせるために、13年度中にさまざまな基準を示す方向です。

 すでに7月26日の第5回子ども・子育て会議では、「新制度」の基本指針を了承しています。子ども・子育て会議と並行してすすめられている基準検討部会でも、保育の必要性と保育時間の認定の基準、施設の面積基準や保育士の資格、人員配置など、条件整備の基準などが議論されています。

 現在8時間が基準となっている保育時間も、保護者がパート就労の場合は、1日6時間までしか預けることができなくなる可能性もだされています。

 政府は、「新制度」では、認定こども園や小規模保育、家庭的保育、事業所内保育などを中心事業として推進しようとしています。小規模保育では、保育者の半分は無資格でもいいとする案もだされています。

 事業者団体からは、企業参入が進めば、撤退への対応も必要となることを想定し、撤退施設の子を別の業者が引き受ける際に定員をこえても、罰せられない枠組みが必要、などの議論もだされています。

 政府が横浜市をモデルにした「待機児童解消加速化プラン」をだしたことは、親たちのなかで危惧と不安をひろげています。横浜方式の実態は、新設の認可保育所144園中6割近い81園が株式会社設立です。そのうち46園は園庭の面積基準の緩和をうけ、ビルの高層階やマンション内、鉄道の高架下の認可保育所もつくられています。「新制度」の先取りです。

 「求めているのは子どもの詰め込みではなく、安心して預けられる保育の拡大」です。「規制緩和で質がよくなることはありえません」という親たちの声に逆行する「新制度」は中止すべきです。

保育合研を成功させて

 「新制度」は、消費税増税を財源にすることを前提にすすめられています。国民の大運動で、消費税増税も、「新制度」も、ともにストップさせていきましょう。

 日本共産党は、仕事と子育ての両立を求める多くの国民と保育関係者との共同をすすめ、認可保育所の増設をもとめています。規制緩和や公的保育の後退、「新制度」の本格実施を許さないためにともに奮闘します。

 そのためにも、子どもたちが健やかに育つことを願い、全国の保育実践と経験を学び交流する「保育合研」が成功するよう、期待します。