主張
熱中症対策
暑さに負けない対策と工夫を
各地で大雨などの被害が相次いだ日本列島は、週明けから夏の高気圧が勢力を盛り返し、猛暑が続いた西日本に加え、東日本でも太平洋岸を中心に猛暑がぶり返すといわれています。不安定で急変する気候の中で心配されるのは、大雨などの被害や農作物などへの影響とともに、海・山などでの夏の事故と熱中症発生です。とくに熱中症は、無理をせず冷房で体温を調整し、水分や塩分をこまめに補給して防止することが重要です。
命にかかわる重大な病気
熱中症は、室温や気温が高い中で作業や運動を続けたため、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温の調整機能が働かなくなり、体温の上昇やめまい、けいれんや意識の異常などさまざまな症状を引き起こす病気です。手当てが早ければ大事を避けることができますが、手遅れなどで、時には死に至ることもある重大な病気です。たかが暑さぐらいでと、軽視することは許されません。
かつては高温になる工場のなかでの作業や、炎天下での運動などを続けて、熱中症になるというのが大半でした。ところが都市部などで建物そのものが高温になり、気密性も高くなっているため、最近では家の中でじっとしていても熱中症になる場合が増えています。日中室内で過ごすことが多い高齢者や、夜になって就寝している間も注意が必要です。
熱中症の疑いで救急車で運ばれる人も暑さとともにうなぎのぼりですが、その割合は高齢者が圧倒的で、次に多いのは子どもたちです。汗をかきにくく、熱さを感じにくい高齢者は、熱いという自覚がないまま熱中症になる危険があります。症状が悪化し、重症や死に至る割合も高齢者が圧倒的です。周囲がエアコンなどでの調整をこまめにするようすすめ、水分や塩分の補給を欠かさないよう手だてを講じることが大事です。外を駆け回る子どもたちのためにも、周囲の援助が求められます。
高齢者などには出費を心配してエアコンなどの使用をためらう向きもあります。それぞれの家でエアコンをつけなくても、集会所やコミュニティーセンターなどに集まって涼しい環境で日中過ごせるようにするなど、公的機関と地域での工夫が大切です。数年前の猛暑の夏には、とくに低所得者へのエアコンの購入を支援する運動や、電気代などを援助する運動が各地に広がりました。節電などに心がけつつ、熱中症の心配なくこの夏を乗り切るために、個人任せにしない対策と工夫が求められます。
家族や周囲の人が自分で水が飲めなくなったり意識がもうろうとしたりして、熱中症かなと思ったら、直ちに消防署や病院に連絡、手遅れにならないうちに手当てしてもらうことも大切です。
人間らしい働き方こそ
熱中症を引き起こさないためには、日ごろから過労をため込んだり、食事のバランスを崩したりしないことが重要です。暑いからといって食事を軽いものですませたりお酒などを飲みすぎたりするのは禁物です。無理をせず休息を取り、バランスのよい食事で体力づくりをはかることです。
長時間・低賃金で酷使し、労働者を使い捨てする「ブラック企業」のような働かせ方を根絶し、人間らしい生活を確立することは、熱中症を防ぐうえでも不可欠です。
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