主張
世界大会2013
核廃絶のカギ握る日本の運動
アメリカが広島と長崎に原子爆弾を投下してから、68年をむかえます。2015年の被爆70年にむけて、「核兵器のない世界」への展望をどうきりひらくのか―。今年の原水爆禁止世界大会(8月3~5日・国際会議、5~6日・広島大会、7~9日長崎大会)は、これまでにもまして大きな意義をもっています。
核兵器の非人道性を告発
2010年には被爆者を先頭に世界から核兵器廃絶を求める人々が国連本部のあるニューヨークに集い、日本からは約700万人分もの署名が届けられました。この世論を背景に、同年の核不拡散条約(NPT)再検討会議では、核保有国も含めた全会一致で「核兵器のない世界」を実現することを決議し、そのための「特別な取り組み」を呼びかけました。
しかし、その後3年余り、さまざまな動きはあるものの、「核兵器のない世界」への大きな前進はみられません。それは米ロをはじめとする核兵器保有国が、核戦力を「抑止力」として維持しつづけ、核兵器廃絶にむけた行動に踏み出せていないからです。世界の反核運動とともに、多くの非核兵器保有国が、この現状をなんとか打開しようと新しい努力をはじめています。
その一つが、核兵器がもたらす残虐な結果としての非人道性を告発して、核兵器の放棄を核保有国に迫る流れです。ことしのNPT再検討会議準備委員会では、80カ国が賛同してこのことを訴える共同声明を発表しました。この動きを、広がりつつある核兵器禁止条約の交渉を求める流れと合流させ、いっそう力強い国際世論を築くことが求められています。
そのカギを握るのが世界の世論と運動、とりわけ日本の原水爆禁止運動です。核兵器の非人道性がクローズアップされてきた背景には、長年にわたってヒロシマ・ナガサキの体験をひろげてきた被爆者を先頭とする日本の運動がありました。「核兵器全面禁止のアピール」署名をはじめ、核兵器全面禁止条約の締結をいっかんして要求してきたのも日本の運動です。世界の運動の要を握っているといっても過言ではありません。
ところが唯一の被爆国として先頭にたつべき日本の政府は、今日の核兵器廃絶の流れに逆行する態度をとっています。核兵器の非人道性を訴えた80カ国声明に、日本政府はあろうことか賛同を拒否し、内外で大きな批判を買いました。いざとなればアメリカの核兵器使用にたよるという日本政府の立場が、核兵器の使用をいかなる場合も禁止せよとした声明の内容と相いれないというのが拒否の理由です。
この日本政府の態度をあらためさせ、被爆国にふさわしい役割を果たさせる任務を負っているのが日本の運動です。その国際的責務は大きいといわねばなりません。
国民的運動の高揚の中で
猛暑のなか、参議院選挙をたたかいながら、10万人が参加するといわれる原水爆禁止を求める国民平和大行進が、各地でとりくまれてきました。例年にもまして沿道からの声援や自治体の心のこもった協力がよせられています。「憲法9条を守れ」の声や、原発ゼロの運動との連帯も深まっています。
こうした国民的な運動の高揚のなかで、原水爆禁止世界大会を成功させることが求められます。
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