主張
TPP交渉参加
暮らし破壊の枠組み撤回せよ
環太平洋連携協定(TPP)の交渉は、主導する米国が年内妥結をめざして加速をはかるもとで、第18回交渉会合が15~25日にマレーシアで開かれます。安倍晋三政権は米国の承認手続きを経て、23日にも参加します。
「21世紀型の画期的な通商協定」をうたうTPPは、関税を例外なく撤廃するとともに、国民の暮らしにかかわるルールを「非関税障壁」として撤廃しようとするものです。多国籍企業の利益を最大化するのが狙いです。参加強行を許さない参院選での国民の審判がいよいよ重要です。
米国の要求丸のみ
米国やオーストラリアなど農産物輸出大国を相手にした関税撤廃が、日本農業に壊滅的打撃となり、地域経済を全国で掘り崩すことは明らかです。TPPはさらに、食の安全・安心や国民皆保険制度、雇用のあり方や政府調達など、広範な分野で国民の暮らしが脅かされます。TPP参加に強い批判があるのは当然です。
自民党は、昨年末の総選挙で「TPP断固反対」のポスターまで張り出したにもかかわらず、政権復帰とともに公約を投げ捨て、交渉に踏み出しました。重要農産物は関税撤廃から除外するといいながら、米国との事前交渉で保証をまったく得られなかったばかりか、牛肉、自動車、保険で米国の要求を丸のみし、TPP交渉と並行してさらなる2国間交渉まで約束させられるなど、まさに米国言いなりです。「交渉力」に期待せよという安倍政権の主張は、裏切りを覆い隠すものです。
オバマ米政権は、成長著しいアジア・太平洋地域で将来にわたって経済覇権を確保し、米国の輸出を促進しながら、米系多国籍企業に有利なルールづくりを推進しています。安倍政権がTPPにしゃにむに参加しようとするのも、米国との同盟関係を強化し、米国と一体で経済ルールづくりを進めるためです。
財界がTPPに期待するのがグローバル化の促進です。安倍政権が規制緩和を軸にした「アベノミクス」の成長戦略を掲げ、限定正社員の導入など雇用の流動化を進めようとするのも、TPPをテコにした日本経済のグローバル化と軌を一にしています。
グローバル化の推進は国民生活を一段と不安定にするものです。大企業がもうけさえすれば、いつか国民にしたたり落ちてくるという「アベノミクス」の理屈は破綻しています。ユニクロの柳井正会長が「年収が1億円か100万円」かに分かれ、100万円も「仕方がない」(「朝日」)と語ったことは、グローバル企業の実態をよく示しています。
経済主権の確保を
TPPは財界中心、米国言いなりのゆがみを推し進め、国のかたちを変えてしまうものです。日本共産党はこうしたゆがみを正し、日本経済を内需主導の持続的な成長に切り替えるよう提案しています。貿易や投資では経済主権を確保し、平等・互恵に立ったルールづくりが不可欠です。
日本農業を再生するには、39%に落ち込んだ食料自給率を50%台に引き上げることを柱に、価格保障と所得補償を組み合わせた農業振興策が必要です。そのためにも、TPP交渉への参加はただちに撤回すべきです。