主張
障害者「基本合意」3年
国は完全実施の約束を果たせ
障害者の生存権を侵害する障害者自立支援法を廃止して新しい法律をつくることを、政府が約束した「基本合意」締結から7日で丸3年となりました。障害者政策の発展にとって大きな意義をもつ合意が交わされた日を記念して、全国から障害者らが東京に集まり、「基本合意」の全面実施を求める大行動に取り組みました。政府は約束を守り、自立支援法をきっぱり廃止し、障害者の権利を十分保障する「障害者総合福祉法」制定に踏み出すべきです。
勝ち取った羅針盤
2010年に結ばれた「基本合意」は、自民・公明政権が実施した自立支援法に反対し、廃止を求めた障害者・家族をはじめとする国民的なたたかいの広がりのなかでかちとった歴史的な文書です。
06年施行の自立支援法はもともと、障害者が生きるために不可欠なサービスを「益」とみなし、原則1割の「応益負担」を強いる生存権侵害の悪法でした。障害が重い人ほど負担が重くなる仕組みに怒りがわきおこり、障害者ら71人が14の地方裁判所に違憲訴訟を提起するなど運動へ発展しました。09年総選挙では、社会保障切り捨て路線を推進した自公政権に退場の審判が下され、かわって発足した民主党政権が違憲訴訟原告・弁護団と締結したのが「基本合意」です。
「基本合意」は、自立支援法導入が「障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」として国が「心から反省」を表明し、同法の廃止を明記しました。さらに新法制定にあたっては「障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援する」とうたいました。「基本合意」は、すべての障害者の権利を保障する障害者権利条約の理念に沿ったもので、今後の国の障害者政策の羅針盤となるべき内容です。
「基本合意」を受けて、違憲訴訟は和解し、政府は障害者が加わった「障がい者制度改革推進会議」を設置、その下におかれた「総合福祉部会」は11年、障害者を保護の対象から権利の主体へと転換することなどを理念にすえた新法に向け「骨格提言」を発表しました。
ところが、その後の民主党政権は「民自公路線」を加速させ、自立支援法の看板をかけ替えただけで「応益負担」などの根幹部分を温存した「障害者総合支援法」を昨年成立させました(4月施行予定)。約束を踏みにじり、障害者を再び深く傷つけた民主党と自公の責任は重大です。
昨年末の総選挙で自公政権が復活しましたが、政権交代しても、国が障害者と結んだ「公的な約束」という「基本合意」の重みは変わりません。自公政権は「基本合意」の完全実施の立場にたち、原告・弁護団などとの定期協議を開催し、「総合支援法」の抜本的な見直しをすすめるとともに、障害者が求める「障害者総合福祉法」を実現するべきです。
逆戻り許さぬたたかいを
障害を本人の「自己責任」ととらえて過酷な負担を強いる障害福祉政策への逆戻りは絶対に許されません。障害者のたたかいが手にした「基本合意」を踏まえ、憲法25条にもとづき生存権が保障される政治を実現する運動がいよいよ重要です。
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