主張
沖縄「慰霊の日」
首相は県民になにを語るのか
東京都議選の投票日でもあるあす23日は、アジア・太平洋戦争末期の1945年の沖縄戦で日本軍の組織的な戦闘が終わった日とされ、沖縄では二度と戦争の惨禍をくりかえさせない決意をこめて「慰霊の日」と定めています。
沖縄で開かれる追悼式には安倍晋三首相のほか岸田文雄外相と小野寺五典防衛相も出席を予定しています。沖縄は戦後長くアメリカの支配下に置かれ、基地の重圧に苦しめられてきました。名護市辺野古への米軍新基地建設を進め、危険な新型輸送機オスプレイまで押し付けている安倍政権は、犠牲者と県民になにを語るのか。
基地負担増やすばかり
「(アメリカの高等弁務官が)沖縄の王位を与えられている…どんな圧政を行っても何者の監視もうけず、彼自身の意志が法であった」。日本共産党の副委員長や衆院議員を務めた瀬長亀次郎氏(故人)が、最近新装版がでた著書『民族の悲劇』のなかでつづっているアメリカ支配下の沖縄の姿です。
住民をまきこんだ地上戦で県民の4人に1人が犠牲になった悲惨な沖縄戦の体験から、沖縄は「命(ぬち)どぅ宝」(命こそ宝)のことばをなにより大切にしています。ところがその沖縄は戦後も長くアメリカの支配下に置かれ、米軍基地のために土地を奪われ、事故や犯罪で命まで脅かされてきました。
日本政府が52年のサンフランシスコ条約で、沖縄を本土から切り離してアメリカの支配下に置いたうえ、72年の復帰後も日米安保条約のもとで異常な米軍基地集中を押し付け続けてきたことは沖縄県民にとって耐え難い屈辱です。
安倍政権はことし、サンフランシスコ条約が発効した4月28日に「主権回復」を称した式典を開きました。沖縄県民は抗議の県民大会を開きました。沖縄にとっての「屈辱の日」に式典を強行した安倍首相がなにを語っても、県民には届くはずがありません。
日本政府は、「基地のない平和な沖縄」を求める県民の願いをふみにじり続けてきました。安倍政権は名護市辺野古に米軍の新基地をつくるため、ことし3月沿岸の埋め立て申請を提出しています。計画が持ち上がってから10年以上県民が調査のための「杭(くい)1本」打たせていないのに埋め立て申請を強行した安倍政権の態度に、県民を納得させるものはありません。
国土面積の0・6%にすぎない沖縄に米軍専用基地の74%が集中し、県民を苦しめているのは異常です。安倍政権は新基地建設だけでなく、墜落の危険が大きいオスプレイが、昼も夜も、傍若無人に飛行するのを容認しています。県民が苦しんでいるのにアメリカいいなりで基地を温存する安倍政権には、県民に語ることばどころか、県民の声を聞く耳もないというしかありません。
安保なくしてこそ
安倍政権が、沖縄県民よりもアメリカの利益を優先して基地を押し付けるのは、日米安保条約=日米軍事同盟にしばられているからです。日本全土を米軍基地に提供する安保条約は、沖縄だけでなく首都・東京の周辺にも横田など米軍基地が置かれる元凶です。
「基地のない平和な沖縄」を願う沖縄県民と全国の国民が、日米安保条約廃棄に力を合わせることが重要です。都議選と参院選は、その大切な審判の機会です。
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