国民多数の声を代弁し安倍自公政権と正面から対決
共産党議員団総会 志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が26日、国会議員団総会で行ったあいさつは以下の通りです。
総選挙の結果について――自己分析をつぎの前進に生かしたい
みなさん、おはようございます。特別国会の開会にあたってごあいさつを申し上げます。まず、総選挙でのみなさんの大奮闘に心からの敬意をのべるものです。(拍手)
この総選挙で、私たちは、議席倍増を目指して奮闘しましたが、結果は9議席から8議席への後退となりました。情勢が求める躍進を果たせなかったことに対して、委員長としていたく責任を感じています。自己分析を行い、つぎの参議院選挙の前進・勝利に必ず生かしていく決意であります。
ただ、私たちが出発点としていた2010年参議院選挙との比較では、比例得票・得票率ともに、わずかではありますが前進という結果を得ることができました。とくに、東北ブロックでは、参議院選挙比で比例票を約1・2倍に伸ばして、高橋ちづ子さんの議席を守りぬくことができました。被災地には、全国から支援がたくさん寄せられただけに、東北ブロックの勝利は、全国の喜びにもなっています。これらは次のたたかいに向けて、第一歩ですが前進の足がかりを築いたものということがいえると思います。
ご支持をいただいた有権者のみなさん、寒さのなかで奮闘していただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに、重ねてお礼を申し上げるものであります。(拍手)
国会の構成と国民の民意のかい離――自公政権はそれを自覚した行動を
総選挙の結果、安倍・自公政権が成立することになりました。
私がまずいいたいのは、国会の構成と国民の民意がこんなにもかけ離れていることはないということです。それは二重の意味でいえると思います。
一つは、自公による325議席の獲得という結果は、なによりも民主党政権の失政への国民の怒りがもたらしたものであり、自民党への国民的期待が広がった結果ではないということです。民主党への「怒りの風」はごうごうたるものが吹いていたわけでありますけれども、自民党への「期待の風」は吹かなかった。そのことは自民党首脳自身が認めていることであります。
いま一つは、自民党の得票は有権者比でみた場合に、小選挙区で24%、比例代表では15%となっている。にもかかわらず6割を超える議席を獲得した。これはまさに小選挙区制という制度が作り出した「虚構の多数」だということです。
私は、自公政権に、このことをきびしく自覚した行動をとることを強く求めるものです。
「アメリカいいなり」、「財界中心」――政治のゆがみがむき出しの形で
そのうえで、この政権に立ち向かう日本共産党の基本姿勢として、私は三つの点を強調しておきたいと思います。
第一は、総選挙後のわずかな期間の動きを見ても、自公体制の復活への動きのなかで、私たちが日本の政治の「二つのゆがみ」として批判してきた問題――「アメリカいいなり」、「財界中心」の政治のゆがみが、むき出しの形であらわれつつあるということです。
安倍政権は、首相指名を待たずに、オバマ米大統領との電話会談を行い、日本経団連の代表と懇談を行いました。そのなかで、「無制限の金融緩和」と大型公共事業のばらまき、集団的自衛権行使と憲法改定、原発再稼働と新増設容認にむけた動き、TPP(環太平洋連携協定)参加にむけた動き、普天間基地の辺野古移設などが、つぎつぎと打ち出されつつあります。
古い破たんした政治のゆがみが、むき出しの形であらわれつつあります。それは、あらゆる分野で、国民との激しい矛盾を広げざるをえないでしょう。日本共産党は、この間示してきた各分野の改革ビジョンを掲げて、安倍・自公政権と正面から対決してがんばり抜くという決意を表明するものです。(拍手)
どの分野でも「たたかいはこれから」――国民運動の発展のために力を注ごう
第二に、国民運動という視点からいいますと、どの分野でも「たたかいはこれから」ということを強調したいと思います。
たとえば消費税増税問題です。総選挙の期間中、これを強行した自公民3党は「増税隠し」に終始しました。とくに安倍総裁は、テレビの党首討論番組で、増税についての態度を問われ、「○」の札も「×」の札も上げないというシーンもありました。ですから今度の結果をもって、国民が増税への信任状を渡したわけではけっしてない、たたかいはこれからだということを、強調したいと思います。
TPPの問題ではどうでしょう。自民党は、「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り反対」を公約としました。安倍総裁もテレビの党首インタビューでTPPへの態度を問われ、「△」を出しました。多くの自民党候補者は「絶対反対」を掲げて当選しています。この問題では、かりに今後、安倍政権がTPP参加に踏み込むということになれば、真っ向から国民の公約に背反するということになります。この問題でもたたかいは、まさにこれからということを、強調したいと思います。
原発の問題はどうでしょう。この問題では、原発をめぐる現実そのものが、いま自公政権が進めようとしている原発推進路線、再稼働推進路線と、真っ向から矛盾してきているというところが重要だと思います。この間、大飯、敦賀、東通原発の直下での活断層問題が次々と問題になっています。先週の金曜日に総選挙後初めての官邸前抗議行動に、私も笠井さんと一緒に参加してきましたが、参加しているみなさんの表情を見ますと、ますます元気はつらつ、「自民党の思い通りにさせないぞ」という熱気にあふれていました。その熱気は、総選挙の結果を受けて、この問題でも新たな高揚が生まれることを、予感させるものでした。
どの問題をとっても、何一つ解決していません。そして安倍・自公政権には、解決策がありません。国会では、自公両党が多数を占めたかもしれませんが、国民の中での様相はまったく異なっています。たたかいはこれからです。各分野の国民的運動をさらに発展させるために、私たち日本共産党があらゆる分野でその一翼をになって、力をそそごうではありませんか。(拍手)
安倍政権と「増税連合」「改憲連合」に正面から対決して奮闘する
第三は、新しい国会での政党配置における日本共産党の位置についてです。新しい国会での政党配置がどうなるかは流動的な要素があります。しかし、いまの段階で次の点ははっきりいえると思います。
まず消費税問題を考えてみると、自公民3党は「3党合意」を結び、それに拘束されています。この勢力を中心にして、「増税連合」が、国会の中ではかなり広い議席を覆う形でつくられています。
一方、憲法問題を見ますと、自公に加えて、「維新の会」とみんなの党などが「改憲連合」をつくりだそうとしています。安倍総裁は、「憲法96条改定問題では、『維新の会』やみんなの党の賛成が得られると思う」とのべました。それにこたえて、「維新の会」は、さっそく「賛成する」との態度表明をしました。みんなの党も「公務員制度の改革が先だ」といいつつ、「賛成する」という態度表明をしました。こうして、衆議院で、具体的に憲法96条改定という点で、憲法改定勢力が3分の2以上を占めたということは、きわめて重大で危険な情勢であることは言うまでもありません。
こうして、安倍政権を中心に、一方で「増税連合」が形成される。他方で、それに重なり合う形で「改憲連合」が形成される。そういう政党配置のもとで、安倍・自公政権と、「増税連合」「改憲連合」に正面から対決する野党としての仕事をしっかり果たすことのできる政党は日本共産党をおいてほかにありません。私たちは、この責任の重さをしっかりと受け止めて、新しい国会でがんばりたいと思います。
総選挙後、党本部に直接、「しんぶん赤旗」の購読申し込みが寄せられていまして、昨日までで48人と、選挙後では過去最高となりました。購読申し込みとともに、「憲法がとても不安になりました」「共産党にがんばってほしい」などの期待の声が寄せられています。
先日、「しんぶん赤旗」日曜版の企画で、ザ・ニュースペーパーのみなさんと新春トークをする機会がありましたが、そこでも先方から開口一番でてきたのは、「自民党政権になり右にいこうとしているから、今こそ共産党の出番かな」という声でした。「ここは共産党にがんばってもらわないと」という期待や注目が、新たに広いところから寄せられている状況があると思います。
増税問題でも、憲法問題でも、私たちの立場は国民多数の声と合致しています。あらゆる問題で、国民の多数の声を代弁し、その期待にこたえて、堂々とがんばり抜こうではありませんか。(拍手)
参院選勝利へ――「国民に溶け込み結びつく力」を豊かに発展させる探求と努力を
総選挙の結果を受けての常任幹部会声明で、私たちは次のようにのべました。
「古い自民党政治が崩壊的危機にあるにもかかわらず、また、党員と支部、後援会のみなさんの燃えるような奮闘があったにもかかわらず、この選挙でそれを議席の前進に結びつけることができませんでした。その最大の理由が、党の自力の問題にあることを、選挙戦の全体を通じて痛感してきました。党の力の根源は、何よりも、さまざまな困難に直面しその解決を求める各層の広範な国民に溶け込み結びつく力にこそあります」
ここには、私たちが新たな探求と開拓をはかるべき大きな問題があります。
党と国民との結びつきと言った場合、もちろん党員を増やすことはその根幹ですし、「しんぶん赤旗」を中心とした活動が、重要となることは言うまでもありません。ただそのさいにも、一人ひとりの党員、一人ひとりの読者を増やすことを、新しい結びつきを広げていくという角度からも、きわめて重要な仕事だということを新鮮に位置づけて、それを生きた力にしていくという姿勢が、いよいよ大事になってくるのではないでしょうか。
同時に、結びつきという問題を、さらに広い視野で豊かに見ていく必要があると思います。たとえば一人ひとりの党員のみなさんは、趣味の活動、いろいろな要求実現の活動、各種サークル、市民運動、自治会、町内会の活動など、いろいろな結びつきを現にもっています。それらにすべて光をあて、生かした党活動を豊かに発展させたい。そのためには、党活動にそれを保障する「余裕」も必要となってくるでしょう。また、そのためには、一人ひとりの党員の新しい踏み切り――成長が必要となってくるでしょう。それらを保障する党の活動のあり方の改善が必要になると思います。
さらに、有権者の状況の変化をリアルにとらえて、それにかみ合って新しい結びつきを広げていく――とくに国民の7割を占める労働者・サラリーマンと、未来を担う青年・学生のなかに新しい結びつきを広げていく――これまで声が届いていない人々のなかに新たな結びつきを広げていくことを、党活動の大きな柱に位置づけて、新たな開拓に挑戦したいと思います。
そういう活動の総体として、国民と「溶け合い結びつく力」をいかに強めるか。どこをどう改善したらそれができるようになるか。これは、つぎの中央委員会総会の課題になってくると思いますが、全党の英知を結集して、新鮮な方向を打ち出したいと考えています。
「広範な国民に溶け込み結びつく力」を豊かに総合的に発展させ、そのなかで日本共産党への信頼と支持を広げていく活動に、新しい知恵と力を発揮して取り組み、来るべき参議院選挙での前進・勝利への道を開こうではありませんか。(拍手)