安倍体制――増税・改憲連合と正面から対決

志位委員長が会見

記者会見する志位和夫委員長=20日、国会内 日本共産党の志位和夫委員長は20日、国会内で記者会見し、新しい国会にのぞむ基本姿勢を明らかにしました。そのなかで、自公を中心に「増税連合」「改憲連合」がつくられようとしていることに警鐘を鳴らし、「国政のあらゆる問題で国民の利益にたって、安倍・自公体制と正面から対決する野党としての仕事を果たせるのは日本共産党だ」とのべ、奮闘の決意をのべました。詳報は次のとおりです。

虚構の多数

 総選挙では自民、公明両党が3分の2を超す議席を獲得し、安倍・自公政権が復活する見通しとなりました。しかし、これは、小選挙区制がもたらした「虚構の多数」のうえに築かれたものです。自民党は6割を超える議席を獲得しましたが、得票を有権者比でみると小選挙区は24%、比例代表は15%です。国会の議席と国民の民意がこれほど大きくかけ離れている状況はありません。安倍体制には、そのことを自覚した行動をとることをまず求めます。

経済・消費税
 
 安倍体制が進めようとしていることを強行したら、国民との激しい矛盾を引き起こすことは必至です。

 経済の問題では、「無制限の金融緩和」と「公共事業のばらまき」を「カンフル剤」にして「デフレ対策」をやり、そのうえで消費税増税を実施しようとしています。

 しかし、「無制限の金融緩和」で物価上昇が起こっても、働く人の賃金が下がり続ければ、国民の暮らしはいよいよ苦しくなります。

 市場にいくらお金を供給しても、内需が冷え込んでいるもとでは投資に回らず、結局、投機マネーとなって深刻な弊害をもたらすことは明らかです。

 200兆円の「国土強靭(きょうじん)化計画」なるものがうたわれていますが、中身は大型公共事業――高速道路や巨大港湾にばく大なお金を注ぎ込むやり方です。

 かつて10年間で430兆円(のち630兆円)の「公共投資基本計画」によって、日本国中がムダな公共事業であふれましたが、景気対策には役に立たず、残ったのは借金の山だったという破たんが証明ずみの政策のむしかえしです。

 こうした政策とセットで、消費税増税を強行すれば、経済にも財政にも破局的な打撃をもたらすことは必至です。

 消費税増税を中止し、働く人の所得を増やす政策に転換してこそ、デフレ不況から抜け出すことができるし、そのために大いに力をつくしたい。

憲法問題

 憲法問題では、安倍体制は、憲法改定の国会発議要件を現行の3分の2以上から2分の1以上に緩和することから始めようとしています。その標的は、憲法9条に当てられており、まず外堀、内堀を埋めてしまおうというものです。これは平和を願う多くの国民と激しい矛盾を引き起こさざるをえません。

 さらに、アジア諸国民との矛盾も引き起こすことになります。9条改定問題は、たんなる日本の国内問題ではありません。アジアへの侵略戦争を起こした日本が、二度と誤りを繰り返さないという国際公約でもあるのが憲法9条です。9条を守り抜き、9条を生かした平和外交でこそ、アジアと世界の信頼を得る日本となることができる。そのための揺るぎない国民多数派をつくるために力をそそぐ決意です。

政党配置

 重大なことは、新しい国会の政党配置では、自公を中心に「増税連合」が形づくられ、「改憲連合」がつくりだされようとしていることです。

 消費税増税では、自公民が「3党合意」を結んでいます。憲法では、自公に加えて「維新の会」とみんなの党が「改憲連合」をつくりだそうとしています。安倍総裁が、「『維新』と『みんな』に改憲発議の条件緩和では賛成していただけるんではないか」と述べると、「維新」の側は「賛成できる」と明言するなど、改憲という点では足並みがそろってくる状況です。

 そういうもとで、消費税、憲法、原発、TPP(環太平洋連携協定)、米軍基地など国政のあらゆる問題で、国民の利益に立って、安倍・自公体制と正面から対決する野党としての仕事を果たせるのは日本共産党だという構図がはっきりしてきました。そのことを自覚して大いに奮闘する決意です。

国民運動と共同

 とくに国民運動との共同に力をそそぎたい。あらゆる問題で大きく広がっている「一点共闘」をさらに発展させる努力をつくしたい。日本共産党が提案してきた各分野の「改革ビジョン」は国民のたたかいにとっていよいよ重要な意義を持つと確信しています。大いにこれを生かしてたたかいの発展をはかりたいと思います。


過去の植民地支配のきっぱりした清算を
日韓関係 志位委員長が強調

 日本共産党の志位和夫委員長は20日、国会内で記者会見し、韓国大統領選挙の結果を受けた日韓関係について聞かれ、「末永く友好な関係を築くためには、日本側が過去の侵略戦争と植民地支配の誤りを清算するきっぱりとした対応を取ることが決定的に重要です」と述べました。

 志位氏は、「大統領選では2人の候補とも歴史認識の問題で、日本に前向きな対応を求めた点で共通していました。韓国の国民全体の総意が一致していることの反映です」と指摘。竹島問題をめぐる話し合いのテーブルをつくるうえでも、「過去の植民地支配に対する反省と謝罪を示すことが不可欠です」と述べました。

 そのうえで志位氏は二つの点で日本政府の対応が問われると指摘しました。

 第一は、1910年の韓国併合に対する認識です。志位氏は、日本政府は韓国併合を「すでに無効だ」といって、併合自体は合法だったという姿勢をとりつづけていると批判。「併合は、独立を求める韓国人を軍事的に弾圧して血の海に沈め、力ずくで植民地にした不法不当なものでした。このことを日本側が認めることが必要です」と述べました。

 第二は、日本軍「慰安婦」をめぐる問題です。志位氏は「日本が国として謝罪と補償をおこなう必要があります」と強調しました。

 志位氏は「少なくとも、この2点で日本側が歴史の真実にのっとった対応をおこなえば、竹島問題についても、冷静に歴史的事実をつき合わせて、領有の問題を両国で検討しようという話し合いのテーブルをつくる道が開かれてきます」と述べました。

一致する課題で協力すすめる
野党共闘 志位委員長が表明

 日本共産党の志位和夫委員長は20日の記者会見で、今後の野党共闘について問われ、国民の要求を実現していくために、「課題ごとに、協力できる政党とは、限定的であっても協力していく」と述べました。

 志位氏は「与党が数のうえでは巨大になるが、民意とのギャップがある。そういう条件のもとで野党にしっかり発言を保障するなど民主的な国会運営をはかっていく点では、どの党であっても協力していきたい」と述べました。

 また、選挙制度の問題では「私たちは民意が反映する制度への抜本改革を求めてきたが、この点でも一致するあらゆる党と協力していく」と述べました。

 志位氏は、国会の全体状況を見れば、「増税連合」「改憲連合」がつくられつつあるが、これに真正面から対峙(たいじ)しつつ、可能な協力・共闘を追求していきたいと述べました。