主張
「日米合同空母部隊」
米制服組の“本音”認めるのか
米海軍のグリナート作戦部長が21日、安倍晋三首相が検討している集団的自衛権の行使が実現すれば、「日米合同の空母機動部隊をつくることもできる」とのべ、日本が集団的自衛権行使を容認することに期待を示しました。
作戦部長の発言は、日本が集団的自衛権行使を容認すれば、海上自衛隊のイージス艦などを米空母機動部隊に組み込み、米国の戦争に自衛隊を動員するという、米国制服組の危険な本音をうきぼりにするものです。集団的自衛権行使の容認にふみだそうとする安倍首相の暴走をやめさせることがいよいよ重要です。
集団的自衛権論議の危険
グリナート作戦部長がいまこうした発言をしたのは、安倍首相が進めている集団的自衛権行使の容認に向けた議論を促進させるのが狙いとみられます。カーター米国防副長官も先月、日本の動きを「建設的」とのべています。米国が米軍の戦略のために日本に集団的自衛権行使を容認させようとしているのは明らかです。
安倍首相が集団的自衛権行使容認に向けた動きを加速しているのは、こうした米国の対日要求に応えてのことです。そのため安倍首相は、第1次安倍政権で設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)を2月に再び立ち上げました。何が何でも集団的自衛権行使に道筋をつけるのが狙いです。
懇談会では、公海で自衛隊が武力を行使して米艦を護衛、米国に向かう弾道ミサイルを自衛隊が迎撃、他国の部隊・兵員を守るための「駆けつけ警護」、他国の活動への後方支援―の「4類型」をそのまま確認して検討を進めています。集団的自衛権の行使は憲法違反というのがこれまでの政府見解です。日本が攻撃もされていないのに武力を行使して米軍など他国部隊を助ける「4類型」は、いずれも明白な憲法違反の行為です。
見過ごせないのは懇談会が「安全保障環境の変化」を理由に、「4類型」にとどめず自衛隊の役割を広く認めようとしていることです。「第7艦隊のパトロールに自衛艦隊が参加する」という議論(2月8日)はその代表例です。空母機動部隊に自衛隊を組み込むというグリナート作戦部長の発言と同じ議論を懇談会が進めているのは重大です。
米第7艦隊の中核は空母機動部隊です。西太平洋・インド洋で他国に軍事的威圧を加え、いざというときには攻撃します。自衛隊がそれに加わるのは、米軍とともに米国の戦争を自衛隊がたたかうということです。懇談会の議論をみても、集団的自衛権行使を認めることの危険性は明白です。安倍政権は日本を危うくする亡国の議論をきっぱりやめるべきです。
9条守り抜いてこそ
日本国憲法は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」(前文)とのべています。政府に二度と戦争をおこさせないという国民の固い決意を示したものです。集団的自衛権の行使容認や自衛隊を「国防軍」にするなどという憲法改悪の企ては許されません。
いま世界が必要としているのは戦争の企てではなく、平和的・外交的努力です。憲法9条を守り抜いてこそ、日本と世界の平和に貢献できます。
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