「しんぶん赤旗」

1~3月期GDP―“アベノリスク”を断ち切れ

2013/05/17 11:01 投稿

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主張

1~3月期GDP

“アベノリスク”を断ち切れ

 安倍晋三政権発足後のことし1~3月期の国内総生産(GDP)が発表になりました。実質で0・9%増、年率換算では3・5%増で、甘利明経済財政担当相は「安倍政権の経済政策の効果が現れ始めた」と賛美しています。しかし国民の実感は、安倍政権の経済政策(アベノミクス)による景気回復とは程遠いものです。急速な円安で生活必需品の物価が上昇し、株高でうるおう資産家と所得が増えない庶民との格差が広がり、設備投資や雇用の拡大も鈍いままです。アベノミクスのリスク(危険)こそ断ち切るべきです。

景気回復の実感ない

 「景気が回復していると感じるか」との問いに、「実感している」は21%だけで、「実感していない」は76%(「読売」13日付)。同じ問いのNHKの調査でも、「感じる」は21%で、「感じない」は36%(同日放送)―。直近のどの世論調査でも、国民に景気回復の実感がないというのが圧倒的です。これこそ経済の実態でしょう。

 実際、1~3月期のGDPでみても、その中身はそれほど「回復」を自慢できるものではありません。GDPが増えたのは輸出と個人消費が増えたためだといいますが、輸出増は円安の反映で、個人消費が増えたというのも自動車など一部の売り上げが増えたからです。「押し上げの主要部分は株高による資産効果」という指摘もあるほどで、国民全体の消費は弱いまま資産家や高額所得者と国民の格差の拡大が問題になっています。

 国民の所得を示す雇用者報酬は1~3月期わずか0・6%しか増えていません。2012年度でみれば0・3%の伸びと、10年度、11年度より減っています。民間企業の設備投資が0・7%減と、いぜん減少から増加に転じていないことも大問題です。アベノミクスの効果が、賃金や雇用増に結びついていないのは明らかです。

 アベノミクスは異常な金融緩和と財政出動、企業活動の自由を拡大する「規制緩和」が柱です。しかし、政権発足からまもなく5カ月になるというのに、その実績は国民にとって景気回復の実感とは程遠いもので、逆に燃料や食料品など生活必需品の値上がりや所得と消費の格差拡大など、国民の暮らしを苦しめています。

 政府は金融を緩和すれば金利が下がり、設備投資や住宅投資も活発になると宣伝しましたが、日銀が大量に国債を買い上げているため、銀行などからの売りが殺到して価格が下落、長期金利が逆に上昇を始めています。このままでは民間投資はもちろん政府の国債発行にも支障をきたすといわれています。アベノミクスでうまくいくというのはまったくの幻想です。

消費税増税の前提として

 国民の実感がないのに、安倍政権がアベノミクスの成果を大々的に宣伝するのは、消費税増税の環境を整えるためです。政府は、4~6月期も「景気回復」が続けば、来年4月から消費税増税に踏み切る計画です。安倍政権が15日成立させた2013年度予算は、消費税増税を前提にした予算です。

 アベノミクスで国民の暮らしを破壊した上、消費税増税を押し付けられてはたまりません。“アベノリスク”を根本から断ち切るべきです。国民の所得と雇用を増やしてこそ、経済も暮らしも立て直すことができます。

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