論点―「道州制」で政治よくなる?
民主・自民・維新・み 「競争・自立」で地方切り捨て
共産党は導入反対 市町村行政の維持・強化こそ
総選挙で国と地方の仕組みを変えれば、政治がよくなるといって「道州制」を各党が公約に掲げています。
「中長期的な視点で検討」(民主)、「5年以内の導入」(自民)、「道州制に移行」(維新)、「地域主権型道州制」(みんな)と掲げ、「競争」や「自立」が強調されています。しかし、この方向は、小泉「構造改革」路線で衰退した地方をいっそう押しつぶすものでしかありません。
「道州制」は財界が「究極の構造改革」と位置づけ、長年要求してきた国家制度の大改編です。国の仕事を外交、軍事、通商、司法などに限定し、憲法にうたわれた社会保障や教育など国民の基本的な権利を守る国の責任は投げ捨てるものです。いまの都道府県をなくし全国を10程度に区分けして「道」「州」をおき、いま約1700ある市町村を再編し、将来的は300程度の「基礎自治体」にしようという内容です。
国から地方への財政支出が削減され、住民施策の水準を確保することが危ぶまれます。財界は、広域行政を担う道州に道路、港湾など大型事業へ財源を集中させることを求めており、住民生活の切り捨てがいっそうすすみます。維新の橋下徹大阪市長がすすめている「大阪都構想」は、道州制の露払いとして政令市を解体し、財界本位に大阪府・市を再編しようとするものです。
維新やみんなは、「道州制」の導入と合わせて消費税を地方税化し、引き換えに地方交付税を廃止するとしています。交付税はどの自治体も標準的なサービスの財源を保障し、憲法の定める「地方自治の本旨」の前提を整えるものであり、欧米にはないすぐれた制度です。ところが、維新は限られた範囲の中で自治体間による財政調整制度にしてしまおうとしています。これでは最低限のサービスを行う財源すら保障されないことになり、地方の衰退と疲弊がいっそうすすんでしまいます。
しかも維新は消費税率を11%に引き上げることを主張しており、サービスの切り捨てと消費税大増税のダブルパンチに見舞われることになります。
「道州制」に対しては、全国の自治体から懸念や反対の声があがっています。11月に開催された全国町村長大会では、改めて「反対」の特別決議を採択。都道府県知事の中でも「道州制」への慎重意見が多数です。
日本共産党は、自治体を変質させる「道州制」導入と市町村再編に強く反対し、道州制基本法の制定を阻止するために全力を挙げると表明。小規模町村を含む身近な市町村行政を維持・強化するとともに、規模の大きな市では行政区や旧市町村を自治的な機能をもつ機構にするなど、自治の回復と強化をはかることを掲げています。
自民党政治により削減された地方交付税を回復させるとともに、必要な財源の保障を訴えています。(矢守一英)
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