一般市民も監視対象
自衛隊情報保全隊 元隊長認める
仙台高裁 違憲の実態明らかに
自衛隊情報保全隊による国民監視の差し止めを求める訴訟の控訴審第4回口頭弁論が13日、仙台高等裁判所で開かれ、元陸上自衛隊情報保全隊長の鈴木健氏が初めて証言台に立ちました。証人尋問で鈴木氏は、情報保全隊が一般市民も対象として広範な団体や個人に監視活動をおこなっていることを認めました。
同証人尋問をめぐっては、小野寺五典防衛相が裁判所の照会に対して、事実上、原告弁護団の尋問を認めない回答をしましたが、公正な裁判を求める運動と世論の力で裁判所が判断し、実現したものです。
原告弁護団は、自衛隊の内部文書に沿って、どのような場合が監視対象となるか質問し、鈴木氏は、一般論だとしながらも、「一般市民も対象であったこと」「日本中のすべての自衛隊のイラク派遣に反対する運動が対象になりうること」「自衛隊のイラク派兵に反対する署名を市街地で集める活動も自衛隊に対する外部からの働きかけに当たり、監視対象になりうること」「監視対象となる団体・個人をまとめた文書があること」など、広い範囲を監視対象として、それを記録していることを認めました。
尋問は、今回では終わらず、次回7月1日に開かれる第5回口頭弁論で引き続き実施されます。
同訴訟は、情報保全隊に監視された東北地方の住民が監視の差し止めと損害賠償を求めたもの。昨年3月26日の一審仙台地裁判決は、国民監視の憲法判断をさけて差し止め請求を却下する一方で、情報保全隊が勝手に個人情報を収集し保存するのは国民が自分についての情報をコントロールする権利を侵害していると原告5人への損害賠償を命じ、原告、被告双方が控訴しました。
情報保全隊 防衛秘密の保護と漏えい防止を主な任務とする防衛相直轄の情報部隊。社会保障の充実を求める街頭宣伝や春闘といった国民のあらゆる運動を監視し、参加した人の名前や写真を記録するなど違憲・違法な活動の実態が、日本共産党が入手した陸自情報保全隊の内部文書の公表(07年)で明らかになりました。その後、陸海空の3自衛隊にそれぞれあった情報保全隊を09年に「自衛隊情報保全隊」に統合し、10年には民主党政権のもとで増員など体制強化しました。
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